2007年2月18日日曜日

西日本パーキンソン病学術講演会

昨日、香川県立中央病院神経内科 山本光利先生の公演に参加させていただきました。
タイトルは「パーキンソン病の薬物療法におけるリスクとベネフィット」

今回の講演は、パーキンソン病治療薬の中でもドーパミン受容体刺激薬(Dopamin agonist)に関するお話でありました。山本先生は、これまでもパーキンソン病に関する数多くの著書を出版しておられ、最近ではドパミンアゴニストと心臓弁膜症に関する論文をNeurology誌に発表されておられますNeurology 67:1225-1229, 2006。今回の講演はその内容から、下記のテーマを中心にドーパミン受容体刺激薬の使い方をかいつまんで説明していただき、非常に勉強になりました。

・Dopamin agonist(DA)の長期投与の問題
・DAは精神症状が多いか?
・Fibrosisは麦角系DAに特有の症状か?
・DAで治療するとジスキネジアは起きないのか?

麦角系ドパミン受容体作動薬の長期投与による心臓弁膜症は問題になっており、今後はその投与量などが検証されていくのでしょう。
麦角系アゴニストによる弁膜症の機序は、明らかではありませんが、5-HT2B受容体との親和性がfibrosisに関与している可能性が示唆されているようです。(5-HT2B受容体はセロトニン受容体の一種で、心臓弁に豊富に存在し、正常な心臓の発達に不可欠な受容体と言われているそうです)

※参考
麦角系;カバサール,ペルマックス,ブロモクリプチン
非麦角系;ビ・シフロール,レキップ、ドミン

山本先生の著書
パーキンソン病―認知と精神医学的側面 (単行本)
パーキンソン病治療ハンドブック (単行本)
患者と家族のためのパーキンソン病Q&A (単行本)
パーキンソン病―病理学,自律神経系研究の進歩
など