2010年12月20日月曜日

第4回南大阪地域における神経難病医療ネットワーク研究会

平成22年12月18日
第4回南大阪地域における神経難病医療ネットワーク研究会にて講演
大阪は本年2度目の講演でした。お招きしていただいた大阪府立急性期・総合医療センター 神経内科 狭間敬憲先先生、澤田甚一先生に深謝いたします。

大阪地区ではレスパイト入院体制の確立に力を入れているようです。
近畿大学医学部堺病院などは、大学付属病院にもかかわらず、かなり頑張ってALS患者さんのレスパイト入院を受けておられ感心させられました。

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第4回南大阪地域における神経難病医療ネットワーク研究会
場所:大阪府立急性期・総合医療センター

プログラム
講演
   座長 近畿大学医学部堺病院神経内科教授 中村勇作先生

   講演「レスパイト入院を軸とした在宅神経難病患者・家族の総合支援」
      村上華林堂病院 神経内科  菊池仁志

パネルディスカッション 「地域におけるレスパイト入院病床の確保について」

   座長 近畿大学医学部神経内科  准教授 三井善之

  パネリスト  川端医院 院長  川端徹
         私立泉佐野病院神経内科 医長  宗田高穂
         近畿大学医学部堺病院 看護部主任 向井君美
         ペガサス療養通所介護 主任 藤田里美

2010年12月11日土曜日

患者会

本日、ALS患者さんを中心としたクリスマス会を開催させていただきました。
地元のボランティア活動のゴスペルシンガーの方々のすばらしい歌声で、皆さん楽しまれていたようです。
スタッフの皆さん、患者、ご家族の皆様お疲れ様でした。

2010年12月2日木曜日

内科医師募集

当院では、内科全般の実地診療、神経難病診療、終末期医療、透析医療を含む糖尿病診療全般、在宅診療などに興味のある若手内科医師を募集しております。
当院は、「チーム医療による全人的医療」をモットーにプライマリケアはもとより慢性疾患・難治性疾患など、患者さん本人・ご家族とのかかわりを大切にした心のこもった医療の提供を目指しております。
当院は、日本神経学会、日本認知症学会、日本糖尿病学会、日本血液学会、日本消化器病学会、日本肝臓学会、日本循環器学会などの研修施設となっており、それぞれの専門医取得も可能です。
また、将来的に開業をお考えの先生方のサポートにも力を入れております。当院で実地医療・医療連携などにかかわることで、大きな自身がつくと思います。
実地医療、在宅医療などにかかわってみたいという心優しい医師の皆様、まずは一度見学・ご相談に来ていただけたら幸いです。

お問い合わせ

村上華林堂病院 事務部長 角田修
mail:sumita@karindoh.or.jp
Tel:092-811-3331

2010年11月30日火曜日

医療経営 phase3


「医療経営 phase3」の11月号から部門別マネジメント「民間病院主導の在宅神経難病患者支援システム」として3回シリーズで当院の難病患者診療支援システムの紹介をさせていただいております。

よろしくお願いいたします。

2010年10月11日月曜日

第3回神経筋疾患在宅呼吸ケアフォーラム

平成22年10月9日(土) 第3回神経筋疾患在宅呼吸ケアフォーラムが福岡市(ホテル日航福岡)にて開催。
今回416名の方が参加され、盛況でありました。特に石井利直先生の患者特別講演はすばらしく、これからもいろいなところで頑張っていただきたいと思います。
皆様お疲れ様でした。

2010年10月3日日曜日

第7回日本難病医療ネットワーク研究会

2010年10月1-2日 第7回日本難病医療ネットワーク研究会が神奈川県民ホール(横浜市)で開催(大会長 北里大学神経内科 荻野美恵子先生)

当院より以下の2演題を報告。ランチョンセミナーで講演もさせていただきました。
今回の研究会のテーマは「難病のショートステイ」および「生命倫理」が中心でありました。
演者の皆様、ご苦労様でした。そして荻野大会長先生大変お疲れ様でした。

演題抄録
1.当院で作成した神経難病患者情報提供書の連携に対する有用性と必要性
山本知佳1)、北野晃祐1)、福崎逸美1)、今村怜子1)、深川知栄2)、田代博史3)、菊池仁志3)
1)村上華林堂病院 リハビリテーション科  2)同 看護部  3)同 神経内科
【背景】当院は、昨年の本研究会において「神経難病診療における職種・施設間連携に関するアンケート調査」の報告を行い、多職種が共有し記入する患者情報提供書を作成した。患者情報提供書を有効活用することで、多施設および多職種間における情報共有を可能にし、より円滑な神経難病連携ができる事が期待される。
【目的】当院および連携施設スタッフに対してアンケート調査を実施し、作成した情報提供書の連携に対する有用性と必要性を検討した。
【対象・方法】H22年3月より当院から退(転)院する神経難病患者を対象に情報提供書の使用を開始し、提供先の連携施設・事業所(以下、連携先)に対しても同書式による情報提供を依頼した。アンケート調査は、患者情報提供書を使用した当院スタッフ(看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、ソーシャルワーカー)44名に留置調査法により実施し、外部18施設は郵送調査法にて実施した。調査内容は前者に①職種、神経筋疾患に係る経験年数②使用・便宜性③他職種と情報共有が出来たか④必要と思われる項目・不必要と思われる項目⑤情報提供書の必要性⑥今後も使用したいか⑦他施設と情報共有ができたかの全7項目。後者に①、④、⑤、⑥、⑦に加え、⑧連携に際して同書式を使用したかの全6項目とした。①は自由回答、②は「良い」「良くない」「どちらでもない」、③⑤⑥⑦は「はい」「いいえ」「どちらでもない」、⑧は「はい」「いいえ」の単一回答、④は「発症日」「重症度」「患者・キーパーソンの情報」「コミュニケーション方法」「身体機能(呼吸機能・摂食機能・上肢機能・下肢機能・自律神経・高次脳機能)」「基本動作」「ADL」「経過」「次回診察・入院予定日」「コメント欄」の情報提供書内にある項目から複数回答とした。その他意見として自由回答欄を設けた。
【結果】回答は当院43名(NS.19名、PT14名、OT6名、ST3名、MSW1名)より回答率97.7%。連携先は9施設(Ns.9名、OT1名、CM13名、計23名)より回答率50%。当院では設問②⑤(72%)⑥(69.8%)③(65.1%)⑦(56.3%)、連携先は設問⑤(95.7%)⑧(85.3%)⑥(73.9%)⑦(56.5%)の順に全て肯定的な回答を示され、いずれも情報提供書の必要性が望まれる結果となった。設問④ではADL(90.9%)が最も高く、重症度(59.1%)が最も低かった。自由回答欄では、院内から「他職種の評価や考え方が分かった、患者把握がしやすい」、連携先からは「関わる以前の情報が把握できた」「居宅サービス計画書の作成・アセスメントへ活用している」等の意見を得た。
【考察】アンケート調査結果では、全ての設問において情報提供書に関する肯定的な回答が過半数を超え、情報提供書が一定の評価を得たと考えられる。その中で、当院・連携先共に最も肯定的な回答率が低かったのは、他施設との情報共有に対する設問であった。これは情報提供書の使用が連携先まで浸透しておらず、連携パスとしての機能が成されていない可能性が考えられる。しかし、自由回答欄において、連携先より複数挙げられた情報提供書の活用意見は、情報提供書が連携手段として有用であることを示唆している。情報提供書の必要性に対する設問は、当院・連携先ともに肯定的な回答率が最も高く、多施設・多職種が共有する情報提供書のニーズは高い。今後は継続して情報提供書を使用し、地域連携パスと同様に多施設間の連携手段として定着させていくことが重要と考えている。

2.当院における定期レスパイト入院の有効性の検証
~多次元介護負担尺度(BIC-11)を使用して~
○深川 知栄1 森山千恵子1 田代英子1 上原奈緒1 吉岡朋子1 原田幸子2 菊池仁志3       医療法人財団華林会 村上華林堂病院 看護部1  MSW2  神経内科医3
【背景】レスパイト入院は、一時的に神経難病患者さんに短期入院していただくことで介護者の介護負担軽減を可能とする。最近では、レスパイト入院を積極的に施行する医療機関も出てきているが、その有効性に関しての客観的評価の報告は少ない。
【目的】当院では、神経難病病棟において3年前より難病患者の計画的定期レスパイト入院の受け入れを積極的に行っている。本研究では、当院が行っている計画的定期レスパイト入院における家族の介護負担感の軽減効果を検証する。
【方法】当院神経難病病棟に定期レスパイト入院中に難病患者のうち、平成21年7月8月に入院かつ次回入院が9月・10月の患者・家族で研究に同意取得し、入院中と自宅療養中の定期レスパイト入院患者の家族に、定期入院中の中間日と自宅療養中の中間日に、それぞれ患者属性・質問表・多次元介護負担尺度(BIC-11)を使用してのアンケート調査を施行した。
【結果】患者家族20名(患者18名)に調査施行。アンケートに答えてもらった家族の被介護者の状況は、レスパイト継続12名、レスパイト中止自宅介護1名、転院2名、死亡3名(平成22年8月現在)。
・疾患別ではALS6名・多系統委縮症3名・パーキンソン病4名・脊髄小脳変性症1名、多発性硬化症1名・進行性核上性麻痺1名・その他2名。
・BIC-11スコアは、40点満点で、高点数ほど、介護負担度が高くなる。本研究でのBIC-11スコア解析では、時間関連では「2.介護のために自由に外出できない」と思う人の割合が在宅介護中は「時々思う」までを合わせると95%。「2.介護をしていて何もかもいやになってしまう」と思う割合は、在宅35%・入院中10%「3.介護を誰かに任せてしまいたい」在宅40%入院中15%。「5.介護をしていてやりがいが感じられずつらい」と思う割合は、在宅60%入院中20%。「11.全体的にみて、介護は自分にとって負担である」の割合は少し負担までを合わせると自宅90%入院中80%となった。BIC-11のスコア総点数の分布は、10点未満:在宅10%未満、入院中15%。10点以上20点未満:在宅40%、入院中55%。20点以上30点未満:在宅45%、入院中10%であった。
・質問表の「次回の入院予定があると頑張れる」では、入院中・在宅どちらも、平均3点以上となった。
【結論】本研究より、計画的レスパイト入院においての主な利点は、レスパイト入院中は介護負担感が軽くなり、計画的な入院予定がある事で介護者が自宅介護を頑張ることができるという事が示された。

ランチョンセミナー(共催 サノフィアヴェンティス)
座長 国立病院機構箱根病院 副院長 小森哲夫先生

「在宅神経難病患者・家族への総合支援 -レスパイト入院を中心としてー」
     村上華林堂病院神経内科 菊池仁志

2010年9月5日日曜日

第8回三島・北河内地域神経難病ネットワーク研修会

平成22年9月4日 第8回三島・北河内地域神経難病ネットワーク研修会(大阪)にて講演させていただきました。

70名ほどの医療関係者が集まっていました。大阪は、難病診療に関して大きく3つの地域に分かれているそうです。レスパイト入院に関する研究会でしたが、レスパイト入院中にどうするのか?との質問が多かったですが、レスパイト入院というのはあくまで本人の全診療過程の一部に過ぎないと思います。病気の全プロセスで本人をどうしていくかを考える事が重要であると考えます。
議論は活発になされ、充実した会でありました。
いろいろためになるご意見もいただきまして有難うございました。

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第8回三島・北河内地域神経難病ネットワーク研修会
プログラム
講演
  座長 関西医科大学神経内科 日下博文教授

  「レスパイト入院を軸とした在宅神経難病患者・家族の総合支援」

               村上華林堂病院 神経内科 菊池仁志

パネルディスカッション

  「地域におけるレスパイト入院病床の確保について」

  つじ・クリニック院長 辻宏明
  関西医科大学 神経内科 藤田健吾
  協和会千里中央病院  大島恵美
  

2010年8月21日土曜日

ALS患者会

本日当院で当院にかかりつけのALS患者さんの患者会が開催。
ボランティアによる歌謡・踊りの催し物がありました。
患者会のネタは回を重ねるごとに凝ってきているようです。
スタッフの皆様、お疲れ様でした。

研究会のご案内


平成22年10月9日(土)
第3回神経筋疾患在宅呼吸ケアフォーラムが福岡で開催されます。

今回のテーマは、「在宅呼吸療法のためのチーム医療ネットワーク」です。

興味のある方は、ふるってご参加ください。

お申込み・お問合せ先
〒812-0892 福岡市博多区東那珂2-20-35 フクダライフテック九州株式会社内 担当者:武下
TEL:092-473-4549 FAX:092-473-4580 E-mail:yoshihide.takeshita@fukuda.co.jp

2010年6月5日土曜日

第2回神経難病リハビリテーションワークショップ

本日第2回神経難病リハビリテーションワークショップに参加

本ワークショップは、厚生労働省QOLの向上に関する研究班の主催で開催。
本ワークショップには当院の北野リハビリ科長がコアメンバーとして参加させていただいております。
今回は、パネリストとして北野科長より「ALSの初期段階のリハビリテーション」を発表させていただきました。これから、全国的に頑張ってくれると期待しております。

特別講演「ブレイン-マシン・インターフェイス(BMI)技術の医療福祉応用」
国立障害者リハビリテーションセンター研究所
感覚機能系障害研究部 感覚認知障害研究室 神作憲司


点滅する文字盤を見つめる時の脳波変化で認識できる機器が開発されています。
要するに固視さえできれば、コミュニケーションが可能になります。
これはかなり実用的と考えられます。

2010年5月22日土曜日

第51回日本神経学会総会

平成22年5月20日‐22日 第51回日本神経学会総会に参加。

当院より以下の演題を発表

筋萎縮性側索硬化症の病型別予後の検討

 村上華林堂病院 神経内科
    菊池仁志、田代博史、西口明子
   同 内科  渡辺真、光吉陽子
 九州大学 神経内科  立石貴久

2010年4月30日金曜日

第3回 福岡神経難病ケア研究会

4/24(土)14:00~16:00
吉塚中小企業振興センターにて
第3回 福岡神経難病ケア研究会が開催
特別講演は、「神経難病における呼吸ケア」
  小森哲夫先生(国立病院機構箱根病院 特命副院長)
 
 非常にためになる呼吸リハの話でした。

一般演題として当院 リハビリ科科長 北野晃祐より
「レスパイトケア期間の 筋萎縮性側索硬化症患者に対する 呼吸リハビリテーション効果」
~呼吸機能と自律神経系機能を指標として~

を発表させていただきました。

北野晃祐リハビリ科科長は、小森先生の難治性疾患克服研究事業「特定疾患患者の生活の質(QOL)の向上に関する研究」班 のリハビリテーションワーキンググループのコアメンバーとして頑張らせていただいております。

2010年1月17日日曜日

JALSA 1月号

日本ALS協会機関紙 JALSA 2010年1月号に当院の取り組みが紹介されました。

JALSA 79号 P6-7 2010年 

「ALS 患者さんの在宅療養をいかに支えていくか」
‐レスパイト入院を中心とした病院主導による総合的在宅サポート体制の構築‐
医療法人財団華林会村上華林堂病院副院長・神経内科部長菊池仁志

 ALS 患者さんの診療は、そのケアの困難さより、一般病院では対応困難であるため、従来は国立療養所などの公的機関により長期療養という形で支えられてきました。しかしながら現在、国立療養所は統廃合により減少の傾向にあり、実際にALS 患者さんを支えていく民間病院の役割が求められてきています。ただ、民間病院では、神経内科専門医の配置は十分ではなく、専門性の高い神経難病診療を十分にできる施設は限られており、さらに、病状の進行に伴う濃厚な看護が必要なため、看護スタッフの疲弊が生じ、長期的な入院療養は困難となります。そのため、多くのALS患者・家族は行き場を失い、在宅での過重な療養を強いられることとなります。そのような患者・家族を救済するためには、在宅での家族介護負担の軽減や患者さんの健康管理のために短期的に入院してもらうレスパイト入院を活用したサポート体制が必要となります。そこで当院では、平成18 年12 月よりALS を中心とした本格的な神経難病診療に取り組み、ALS 患者さんの在宅療養を長期的に支えるための総合的サポートシステムの構築を始めました。当院は福岡県福岡市西区に位置し、病床数160 床(一般病床88 床、亜急性病床16 床、障害者施設等一般病床36 床、ホスピス20 床)の内科・外科・眼科・整形外科を中心とする総合病院です。神経内科に関しては、神経内科常勤医3 名および非常勤1 名の体制で、市内に長期療養型の国立病院機構が存在しないため、主に大学病院などの基幹病院からの神経難病患者の受け皿としての役割を担っております。当院の神経難病診療指針としては、1.神経難病患者は、医療行為だけでは多くの問題は解決できないため、心理的・社会的サポートを固めるべく多職種間でのチーム医療を進めていく。2.初期診療から病状の進行過程に関わる事で、患者さんの人間性や心理状態を把握し、メンタルサポート・リハビリテーションを通してADL やQOL の向上に努める。3.可能な限り在宅への復帰を目指し、家族と一体になったサポート体制を構築する。4.在宅診療を中心とした長期療養を行いながら可能な限り末期まで診療する。5.介護者の負担軽減も考えたレスパイトケアやメンタルサポートを推進する。6.医療スタッフへの過剰負担の軽減に努め無理のないサポート体制を推進する。以上のことを基本とし、神経難病病棟の医師、看護師、リハビリスタッフ、MSW、臨床心理士、栄養士、薬剤師ならびに、訪問診療医(神経内科専門医・内科医)および在宅難病コーディネーター、ケアマネージャー、訪問看護師を中心とするチーム体制を通して、対症療法、リハビリテーション、心理サポートを中心とした効率的な診療を在宅・入院を通して行っております。また、遠方にお住まいの方に関しても、他施設の往診医・訪問看護ステーションとの連携体制をとってサポートしております(図1)。レスパイト入院に関しては、平成19 年5 月より在宅診療部を立ち上げ、レスパイト入院のシステム化を開始いたしました。そこで、神経難病担当医師、神経難病担当医療相談員、神経難病病棟師長、在宅難病コーディネーターが中心となって在宅診療部と神経難病病棟とを連携し、全入院患者に対して患者ごとに在宅療養と入院診療を包括的に管理することで、ALS を中心とする数多くの在宅神経難病患者さんの受け入れが可能となりました。その実績としては、平成19 年7 月より平成21年9 月までの約2 年間で、総数68 名、延べ721 回、月平均27 名の患者さんが神経難病病棟へのレスパイト入院を行っております。特にALS に関しては、当院に関わっている約70 名のALS 患者さんの内、30 名、延べ268回のレスパイト入院を行っております。その他の神経難病に関しては、パーキンソン病17名(延べ236 回)、多系統萎縮症9 名(延べ83 回)、脊髄小脳変性症3 名(延べ31 回)、多発性硬化症2 名(延べ33 回)、その他8 名(延べ70 回)であり、やはりALS 患者さんのレスパイト入院がいかに必要とされているかが分かります。また、当院在宅診療部では、本支援システムを通して、平成19 年5 月より平成21 年9 月までに神経難病患者22名、内ALS 14 名と数多くの在宅ALS 患者さんの診療ができるようになりました。
 当院では、大学病院などの基幹病院と連携し、できるだけ早い段階でALS 患者さんを紹介していただくようにしていただいております。そして、病初期から在宅診療を基盤とした計画的レスパイト入院を繰り返すことで、患者・家族との信頼関係が構築されるとともに、家族も診療スタッフの一員として参加しているという意識を持てるようになります。特に、レスパイト入院期間に関しては、重症度に応じて2 週間から1ヶ月の入院、最低1ヶ月以上の在宅療養というサイクルを繰り返すことで、介護者であるご家族と病棟スタッフで介護負担を分担していきます(図2)。そして、あらかじめ入・退院日を決めることで、患者・家族が病院に支えられているという安心感を持ち、ご家族が計画的に休息できるようになります。さらに、重症の患者さんが集中しないように入院計画を組むことで、医療スタッフの負担軽減が図れ、数多くの神経難病患者さんを看ることができます。レスパイト入院中は、患者さんの全身状態の管理、リハビリテーション(在宅での生活を目標として、リハビリテーションスタッフが患者さんの家屋調査を行い、家の構造に基づいたリハビリテーションを推進します)、メンタルサポート(カウンセリングや家族療法など)、胃ろう造設、NIPPV の導入、気管切開、人工呼吸器の装着、療養環境の調整などを行うことで、長期的な在宅療養に対応していきます。また、在宅での急な病状悪化の際も、神経難病病棟で積極的に入院を受け入れ、コミュニケーションが困難な患者さんにも、日頃からレスパイト入院で接している病棟スタッフにより、迅速な対応ができるようにしております。レスパイト入院型の病棟の問題点としては、ALS 患者さんの長期受け入れが困難であることが挙げられますが、将来的に在宅療養が困難となる可能性がある患者さんに対しては、早い段階から長期療養病院と併診という形をとり、柔軟な対応ができるようにしています。
 病院主導による計画的レスパイト入院を軸とした在宅神経難病患者支援体制を構築することで、ALS 患者さんを中心としたより多くの神経難病患者・家族の救済が可能となりました。当院での試みが、全国のALS 患者さんの救済の一助になれば幸いです。 

2010年1月8日金曜日

廃用身

老人介護をモチーフにした小説は多いですが、久坂部羊の「廃用身」は異色で考えさせられます。
脳梗塞などで麻痺し、回復困難な手足を切断することで、体が軽くなり、介護負担軽減が図れ、本人のQOLも向上する。排泄処置の困難さを軽減するためにストーマを作る・・・

「廃用身」 Amazonより・・廃用身とは、麻痺して動かず回復しない手足をいう。漆原医師の究極の医療「Aケア」とはそれらを切断することだった・・「廃用身」とは、脳梗塞などの麻痺で動かなくなり、しかも回復の見込みのない手足のことをいう医学用語である。医師・漆原糾は、神戸で老人医療にあたっていた。心身ともに不自由な生活を送る老人たちと日々、接する彼は、“より良い介護とは何か”をいつも思い悩みながら、やがて画期的な療法「Aケア」を思いつく。漆原が医学的な効果を信じて老人患者に勧めるそれは、動かなくなった廃用身を切断(Amputation)するものだった。患者たちの同意を得て、つぎつぎに実践する漆原。が、やがてそれをマスコミがかぎつけ、当然、残酷でスキャンダラスな「老人虐待の大事件」と報道する。はたして漆原は悪魔なのか?それとも医療と老人と介護者に福音をもたらす奇跡の使者なのか?人間の誠実と残酷、理性と醜悪、情熱と逸脱を、迫真のリアリティで描き切った超問題作。******

2010年1月1日金曜日

謹賀新年

あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願い申し上げます。