2007年7月30日月曜日

スピリチュアリティ

 7月19日 元文化庁長官で、臨床心理学者の河合隼雄先生がお亡くなりになられました。河合隼雄氏はユング研究者の第一人者で、日本人で初めてユング派分析家の資格を取らております。ユングの心理学の中で興味深いものに、「共時性」というものがあります。偶然の一致は起こるべくして起こるというものです。スピリチュルアルケアの上でも考えさせられるものがあります。

 神経難病患者やホスピスケアの領域ではスピリチュアリティーの問題は大切な分野であり、当院にも臨床心理士が在中し、それらの患者様の心のケアを行っております。
 ホスピスと神経難病には、メンタルサポートと言う面では共通する部分が多いと思います。そこには、死生観を含めたスピリチュアリティーの問題が大きくかかわってきます。実際、欧米では、神経難病患者もホスピスに入り療養する場合が多いです。ただ、癌のターミナルケアと神経難病の大きな違いは、そのtime spanと介護度の違いにあるのでしょう。また、癌患者の問題の主体は、痛みのコントロールであり、神経難病患者の問題の主体は家族による介護の問題が大きな部分を占めています。特に家族ぐるみの介護の問題と言うのは、「個」を重んじる欧米人の社会構造より、「家」を重んじる日本的な社会構造の問題が大きいのかもしれません。
 ホスピスの世界では、キュブラーロスがdepth of lifeを唱え、シシリーソンダースがペインコントロールを主体としたQOLの向上を発展させることでホスピス運動の基盤が作られてきました。これらのホスピス運動の中に、運動神経系疾患に対するホスピスケアの問題も挙げられています。当院には、神経難病病棟とホスピス・緩和ケア病棟がありますので、今後、さまざまなスピリチュアリティーに対する理解を深め、意識の向上を図って行きたいものです。

参考図書
 医療倫理学 丸山マサ美編
  医療倫理に関する入門書です。

 死をめぐる自己決定について
  少し古い本ですが、死生観からみた終末期医療を考察しています。

 死ぬ瞬間―死とその過程について
 キュブラーロスの代表作。末期がん患者のインタビューより、死に行く人の心理過程の5段階を提唱。この5段階に関するロスの考え方は、5段階だけ羅列して話を聞いてもよく分からないが、この本を読んでみてなるほどと理解できる部分が多い。しかし、ロス自身は、晩年苦しんでいたとのこと。。。

 尊厳死か生か
  難病病棟の立ち上げの体験から、ALS患者の人工呼吸器装着に関する問題まで、一現場のさまざまさスタッフの意見が述べられています。 

2007年7月16日月曜日

同門会

7月14日 九州大学神経内科同門会が、九州大学百年講堂で開催されました。
特別講演は、新潟大学神経内科 西澤正豊教授の「運動失調症の分子病態」でした。
脊髄小脳変性症もずいぶん色々なことが分かってきているようです。

2007年7月1日日曜日

在宅診療部

本年6月より当院の在宅診療部がスタートしております。
部長は神経内科専門医である田代博史先生です。
神経難病の在宅診療を中心に、病棟との連携行うことで、患者様のQOLの向上、満足度の向上、介護者、家族のレスパイトケアを円滑に行っていきたいと考えております。
よろしくおねがい申し上げます。