2009年10月17日土曜日

厚労省、難病に11疾患を追加 既定方針変更せず

厚労省、難病に11疾患を追加 既定方針変更せず
 厚生労働省の山井和則政務官は16日、医療費の助成対象の難病に11疾患を追加すると発表した。2009年度補正予算で追加に必要な29億円が盛り込まれていたが、政権交代で執行されるかが焦点だった。助成対象の難病は計56になる。

 追加するのは、間脳下垂体機能障害、家族性高コレステロール血症、脊髄性筋萎縮症、球脊髄性筋萎縮症、慢性炎症性脱髄性多発神経炎、肥大型心筋症、拘束型心筋症、ミトコンドリア病、リンパ脈管筋腫症、重症多形滲出性紅斑(急性期)、黄色靱帯骨化症。

 厚労省は月内に都道府県に通知。今月1日以降の医療費について助成の対象とする。

 国の難病対策では現在、治療法の開発や原因究明を進める「難治性疾患克服研究事業」の対象に130疾患を指定。このうち45疾患に医療費も助成している。今回の11疾患は克服研究事業の対象だが、患者団体の要望などを受け、助成対象に追加することにした。

2009/10/16 (共同通信)

2009年10月9日金曜日

第6回 日本難病医療ネットワーク研究会

第6回 日本難病医療ネットワーク研究会が三重県で開催

今回は、三重大学看護学科基礎看護学の成田有吾教授の主催。
非常にまとまった会となっておりました。

当院よりの演題

1.当院における在宅神経難病患者支援体制
~計画的レスパイト入院システムの構築~

○原田幸子1 八島佐知1 深川知栄 2 橋本淳子3 橋本美加4 田代博史4、5 菊池仁志5
医療相談室1 看護部2 居宅介護支援事業所「かりん」3 在宅診療部4 神経内科5  
                                                   
【背景】神経難病患者は、入院受け入れ先が少ないのが現状であり、神経難病患者を抱えた家族は重い介護負担を強いられている。また、適切な相談先を見つけることやレスパイト入院先、あるいは救急時の搬入先が確保できずに介護破綻することも少なくない。したがって、神経難病患者・家族が無理の無い在宅療養を継続する為には病院を中心とした包括的な支援システムが必要であると考えられる。

【目的】村上華林堂病院では、H19年7月より神経難病担当MSWと障害者病棟の病棟師長によりレスパイト入院を計画・管理し、病院主導のレスパイト入院のシステム化を行った。レスパイト入院を完全にシステム化することにより、現在30名以上の在宅支援を行っている。本報告では、レスパイト入院のシステム化による神経難病患者の在宅療養支援の有効性を検証する。

【結果】H19年7月からH21年6月までのレスパイト入院患者状況
      レスパイト入院疾患別利用者数     レスパイト入院利用のべ回数

      ALS         27名              240回
      パーキンソン病    14名              192回         
      多系統萎縮症    8名               68回
      脊髄小脳変性症   3名               25回
      多発性硬化症    2名               27回
      その他特定疾患   3名               17回
      その他         4名               48回
      合計          58名              618回

   中止 18名(内 死亡 10名  転院 8名)
   6月30日現在実登録者数    42名
 一ヶ月のレスパイト入院利用平均     26名

【結論】レスパイト入院を完全にシステム化し、入退院を病院主導で計画・管理することで、より多くの神経難病患者・家族の在宅支援が可能となる。よって、病院主導のレスパイト入院は、神経難病患者の在宅療養において有効であると言える。

2.神経難病診療における職種・施設間連携に関するアンケート調査
~ 患者情報共有によるよりよい連携を目指して ~
○北野晃祐1)、山本知佳1)、本田直也1)、深川知栄2)、田代博史3)、菊池仁志3)
1)村上華林堂病院 リハビリテーション科  2)同 看護部  3)同 神経内科

【背景】神経筋疾患患者の診療には、診断・レスパイト・長期入院など、病院機能に応じた患者受け入れ、転院などの際、施設間での医師・コメディカルによる多専門職種間での連携が必要となる。この連携で通常用いられる患者情報提供書の書式は、共通性に欠ける面があり、情報の共有化が十分できない場合もある。

【目的】多専門職種・施設間での神経筋疾患患者の連携に関する現状を把握するためにアンケート調査を実施し、さらに、それぞれが共通して使用する患者情報提供書に関する検討を行った。

【対象・方法】
福岡県内で神経内科医が常勤し、神経筋疾患患者を積極的に受け入れている3民間病院のスタッフ(医師、看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、ソーシャルワーカー、臨床心理士)78名に対し、アンケート調査を集合調査法にて実施した。調査内容は①職種②経験年数③神経筋疾患患者に係る経験年数④他施設との情報連携不足経験の有無⑤他職種との情報連携不足経験の有無⑥多職種・他施設共通の患者情報提供書様式の作成の必要性の有無⑦添書作成に際し重要と思われる項目の全7項目とした。①~③は自由記載、④~⑥は「はい」「いいえ」「分からない」の三者択一、⑦は「発症日」「重症度」「生化学検査結果」「ADL評価」「趣味」「キーパーソンの情報」「移動・移乗能力」「介助必要事項と方法」「性格」「コミュニケーション方法」「生きがい」「リスク管理」「現在残存する課題」「呼吸機能」「目標(看護・リハ)」「入院生活状況」「食事内容」「経過」「継続して欲しいこと」「具体的リハ内容」「残存機能評価結果(ROM‐T等)」「利用可能な制度」「介護支援事業所(ケアマネ)」「その他」の中で重要と思う項目をすべて選択可能とした。

【結果】回答は64名(医師4名,看護師25名,PT19名,OT11名,ST3名,MSW1名,臨床心理士1名)から得られ、回収率は82%だった。設問③は1年以上5年未満(79.7%)が大半を占めた。設問④は33(51.5%)設問⑤は47(73.4%)設問⑥は49(76.5%)と「はい」が最も高い割合を示した。設問⑦では、「コミュニケーション方法(82.8%)」「ADL評価(67.1%)」「キーパーソンの情報(64%)」「移動・移乗能力(64%)」「重症度(62.5%)」「介助方法(62.5%)」「発症日(60.9%)」「リスク管理(60.9%)」「呼吸機能(56.2%)」「現在残存する課題(51.5%)」の項目が回答の過半数を超えていた。職種別の特徴として看護師は、コミュニケーション方法(92%)キーパーソンの情報(84%)が、PTはコミュニケーション(78.9%)リスク管理(68.4%)が、OTはADL評価(100%)の項目が患者情報提供書に重要であると示された。

【考察】本アンケート調査では施設間・職種間ともに連携不足との認識が強く、実際の現場における医療連携の改善が必要である。患者情報提供書の書式は施設毎に異なる。記載する内容は連携施設でも統一性に欠け、本調査結果で、76.5%が多職種・多施設共通の患者情報提供書の必要性を感じており、必要情報の意思統一を図ることは重要と考えられた。患者情報提供書に重要な項目として「コミュニケーション方法」が最も高い割合を示した。これは、コミュニケーション確立が最も重要との医療スタッフの考えを示唆している。職種別の結果では、看護師は「キーパーソンの情報」、PTは「リスク管理」、OTは「ADL評価」が高い割合を示しており、各職種の患者への関わり方を強く表している。医療連携には、情報の共有化のため共通の書式が望ましい。現在、脳卒中を始め、様々な分野で施設間の連携パスが作成されている。今後、神経難病診療においても、施設間で診療・リハビリテーション・看護ケアなどに関する共通書式による連携パスの導入が望まれる。

2009年10月1日木曜日

新人医師

10月1日より九州大学神経内科から当院へ西口明子医師が赴任されました。
内科一般および神経内科診療を行っていただきます。
よろしくお願いいたします。