2008年12月8日月曜日

佐賀県MSW講演会

12月5日
佐賀県のMSWへの講習会でALSに関する講義に佐賀医大へ行く

おそえがわ脳神経内科の小副川学先生が主導でのMSW勉強会。
先生は佐賀で熱心に活動されているようです。

2008年12月4日木曜日

10周年記念シンポジウム

昨日
福岡県重症神経難病ネットワーク 
10周年記念シンポジウムが九州大学にて開催

シンポジストとして講演させていただきました

100名程度の参加あり
終了時間を大幅に超え、約3時間にわたるシンポジウムでした。
この分野結構マニアックな人たちが多いようです。

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日時:平成20年12月3日(水)18時~20時
場所:九州大学医学部百年講堂 中ホール

総合司会:九州大学医学部神経内科 立石貴久

1. 開会
2. 挨拶
九州大学医学部神経内科 教授 
福岡県難病医療連絡協議会 会長
吉良潤一

3. シンポジウム 
座長:九州大学医学部神経内科 教授 吉良潤一

① わが国の難病対策 今後の展望
厚生労働省 疾病対策課 課長補佐

② 福岡県重症神経難病ネットワークの10年間を振り返って
九州大学医学部神経内科 教授 吉良潤一

③ 福岡県重症神経難病ネットワークの10年間の活動報告
福岡県難病医療連絡協議会 難病医療専門員 岩木三保

④ 当事者の立場から、難病ネットワーク事業へ期待すること
日本ALS協会 橋本操

⑤ 協力病院の立場から、難病ネットワーク事業へ期待すること
村上華林堂病院 神経内科 菊池仁志

4. 総合討論
司会:九州大学医学部神経内科 教授 吉良潤一
   福岡県難病連絡協議会 岩木三保
5. 閉会

2008年12月2日火曜日

第4回 ふくおか「臨床医学研究賞」


本日、医療・介護・教育研究財団より、第4回 ふくおか「臨床医学研究賞」をいただきました。

研究テーマは、「神経難病患者に対する総合的サポート体制の構築の試み」

病院スタッフ一同の協力体制が、少しずつ世間に認識されているのでしょう。

今後とも質の向上に努めていきたいものです。

皆さんお疲れ様です。

2008年11月13日木曜日

平成20年度 福岡ブロック難病従事者研修会

平成20年度 福岡ブロック難病従事者研修会にて講演

       「眼の症状から見える神経疾患」~気づいていますか?眼からのサイン~

場 所  吉塚合同庁舎

参加者約120名ほど。
長時間の講義でしたが皆さん頑張って聞いてくれていました。
     

2008年11月5日水曜日

キネシオテープ

「難病と在宅ケア」11月号に当院リハビリテーション科からの論文が掲載されました。

増山さんと北野リハ長の力作です。

「キネシオテープがALS患者の筋出力、疼痛軽減に与える影響」

  増山慎二、北野晃祐、菊池仁志

  難病と在宅ケア Vol 14 No.8 p34-36, 2008

キネシオテープは、筋肉(皮膚)と同じ伸縮力を持ち、別名「人工筋肉テープ」と呼ばれ、効果・特徴として

①痛み、凝り、内出血の改善
②腫れや内出血の軽減
③疼痛緩和
④筋疲労の早期回復
⑤リハビリ・機能回復効果
⑥関節の動きを良くする

などが挙げられます

キネシオテープにより筋収縮が楽にでき、疼痛緩和を促すことでALS患者さんのQOLの向上が期待されます。

キネシオテーピング協会

2008年8月29日金曜日

第5回日本難病ネットワーク研究会

8月28日第5回日本難病ネットワーク研究会(東京 船堀タワーホール)に参加。

当院より以下の2題の演題を発表させていただきました。
会は、例年に比べて静かな雰囲気でありました。
長期療養歳の確保、在宅療養の充実、いつもながらこれらが最大の問題です。
神経難病患者に対する対応としては、全国的な規模で動かそうとするとどうしても行政の問題が大きな壁になります。大局を動かすことも大事であると同時に、個別のシステムの確立をすすめることが望まれます。

当院ALS患者における病型・重症度と福祉用具導入時期の調査・報告とその有用性
○植松浩巨1)、佐々木勝哉1)、北野晃祐1)、菊池仁志2)
1)村上華林堂病院 リハビリテーション科 2)同 神経内科


神経難病患者の在宅支援
○中村 弘子1)、 原田 幸子2) 、 橋本 美加3) 、  森 龍子4)
1) 訪問看護ステーションかりん 2) 村上華林堂病院MSW    
3) 村上華林堂病院在宅療養部  4) 居宅介護支援事業所「かりん」



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第5回日本難病医療ネットワーク研究会プログラム
10:00     開会                                        
 開会の挨拶     第5回日本難病医療ネットワーク研究会  会長      林 秀明
(東京都立神経病院院長)
10:05     一般演題(第一部)                                   
                   座長:三重大学医療福祉支援センター     成田 有吾
                      東京大学医科学研究所ヒトゲノム解析センター 武藤香織
1.筋萎縮性側索硬化症の痛みに対する鍼治療の試み
○ 佐々木石雄1)、佐藤清人2)、井下謙司2)
1) 医療法人社団豊南会香川井下病院神経内科 2) 同・内科

2. 当院ALS患者における病型・重症度と福祉用具導入時期の調査・報告とその有用性
○植松浩巨1)、佐々木勝哉1)、北野晃祐1)、菊池仁志2)
1)村上華林堂病院 リハビリテーション科 2)同 神経内科

3.  新たなコミュニケーション手段によるQOLの変化を
SEIQoL-DWにより評価したALS患者の一事例
○ 田中千恵1)、村嶋正幸2)、中井三智子3)、成田有吾4)
1) 三重県立看護大学 現三重県立総合医療センター   2) 三重県立看護大学  
3) 三重県難病医療連絡協議会   4) 三重大学医療福祉支援センター


4. ALS終末期患者の在宅療養を可能にした要因
~患者の意思を最後まで実現した家族への支援~
○保坂哉子、 齊田綾子、 原澤さやか、 大塚友美、 長嶋和明
(群馬県富岡地域医療事務組合 公立七日市病院)

5. 軽度認知障害と舞踏運動を伴ったハンチントン病患者の入院・入所生活における課題
○澤田甚一、樫山優美子、野正佳余、狭間敬憲  (大阪難病医療情報センター)

6.  単身者の在宅移行支援を通じて在宅療養のあり方を考える
○岡戸有子 (神経病院地域療養支援室)

11:20     会長講演                              
司会:独立行政法人国立病院機構新潟病院 中島孝 
     
12:15     昼休み                                       

13:15     総会

13:25     テーマディスカッション1
【医療と福祉の狭間をつなぎ、安心して安定した療養環境の実現に向けて】
座長: 独立行政法人国立病院機構宮城病院  木村 格
北里大学医学部           荻野 美恵子

(1)東京都での医療的・介護的負荷への取り組みと課題
財団法人東京都医学研究機構東京都神経科学総合研究所  小倉 朗子

(2)現状の医療福祉体制の介護・福祉施設の神経筋難病患者への活用の課題
北里大学医学部    荻野 美恵子


(3)医療的課題を持つ身体障害者福祉施設のALS居室療養の現場から
身体障害者療養施設みずき施設長   中村 稔

(4)ALS患者・家族の医療・福祉の現場療養環境下の在宅呼吸療養の現場から
日本ALS協会理事   海野 幸太郎

14:25     全体討論                                     

14:40     一般演題(第二部)                                 
                         座長:岡山大学神経内科     阿部康二
 福岡県難病医療連絡協議会 岩木三保
7. 福岡県における難病合同連絡会の取り組み
○ 岩木三保1)、上三垣かずえ1)、大道綾2)、立石貴久3)、吉良潤一3)
1) 福岡県重症神経難病ネットワーク  2) 福岡県難病相談・支援センター  3) 九州大学医学部神経内科

8.神経難病患者の在宅支援
○中村 弘子1)、 原田 幸子2) 、 橋本 美加3) 、  森 龍子4)
1) 訪問看護ステーションかりん 2) 村上華林堂病院MSW    
3) 村上華林堂病院在宅療養部  4) 居宅介護支援事業所「かりん」

9.三重県の難病患者支援体制の現状と問題点
○中井三智子1) 、 藤田典子2) 、 成田有吾1,3,4,)
1) 三重県難病医療連絡協議会 2) 三重県健康福祉部 
3) 三重大学医学部附属病院医療福祉支援センター 4) 三重大学神経内科

10. 地域連携による難病患者支援  -事例を通しての一考察-
○今里福美1)前川巳津代1)後藤公文1) 松尾秀徳1) 中原佐代子2)植田友貴2) 安永仁美2) 
1) 馬場勝江長崎県難病医療連絡協議会    2) 長崎神経医療センター 

11. 山陽地区神経難病ネットワークにおける過疎地域での神経難病医療体制の充実に向けて
○武久 康1)、 森 貴美2)、池田佳生1)、神谷達司1)、橋本真由美3)、橋本 司3)、阿部康二1)
1) 岡山大学神経内科、2) 岡山大学大学院保健学研究科、3) 国立病院機構愛媛病院

12. 東京都の神経難病医療ネットワーク事業の取り組み
○桂 桂子 (東京都福祉保健局保健政策部疾病対策課)

13.西多摩保健所管内の神経難病患者の地域支援ネットワークと地域保健活動の成果
~筋萎縮性側索硬化症(ALS)療養者への在宅療養支援状況からみた考察~
○奥山典子1)、中西瑞枝1)、岩崎未来1)、山田涼子1)、梅沢ぬゑ1)、小林信之1) 橘清子2)
1)東京都西多摩保健所 2)東京都多摩小平保健所

16:05     テーマディスカッション2                                    
【神経難病ネットワーク事業の拠点病院の役割とこれからの課題】
座長: 九州大学大学院医学研究院   吉良潤一
都立神経病院        林 秀明

1)大学病院の福岡県の拠点病院としての取り組み      立石 貴久   (九州大学大学院医学研究院) 
2)国立病院機構の拠点病院としての取り組み     今井 尚志(独立行政法人国立病院機構宮城病院)
3)都立神経病院の東京都の拠点病院としての取り組み     鏡原 康裕  (都立神経病院)
4)地域自治体病院での取り組み               近藤 清彦  (公立八鹿病院)

17:05     全体討論                                     

17:30     NPPVセミナー

18:30     閉会の挨拶                                    

2008年8月24日日曜日

夏祭り

8月23日
当院のALS患者さんを中心とする患者会の夏祭り
集まりは、春に続き2回目
今回は当院の外来スタッフがとてもがんばって企画してくれました。
ゲームに、地域の踊り手さんなど
充実した患者会でありました。
患者さん、ご家族の皆様、スタッフのいい交流ができたと思います。

皆様お疲れ様でした。

2008年8月9日土曜日

難病ヘルパー研修

8月7日
本年度の福岡市立社会福祉事業団の難病患者等ホームヘルパー養成研修のための講義を行う。
難病の基礎知識と題して3時間  年に1回の研修
今年は若干参加がすくなく30名程度
3時間の連続講義は長かったが、皆さんめげずに熱心に聴いておられたようです。
他に当院のMSW(原田)より難病の保険・医療福祉制度の講義もあり。

2008年8月5日火曜日

脳卒中連携パス

平成20年4月より脳卒中患者に対する連携パスが開始されました。
8月5日九州医療センターにて合同会議あり。
現時点では、まだ医療センターの脳卒中連携パス症例はないとのことです。
急性期病院から回復期リハ病院、そして在宅へ。。。
連携パスで管理していくようですが、各施設でのスコアリングの評価の違いなど、いろいろと検討点もあるようです。

2008年8月2日土曜日

iPS細胞

いよいよiPS細胞が応用されてきているようです。

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ALS患者の細胞からiPS細胞作製、米大学チームが成功
(2008年8月1日10時21分 読売新聞)

 運動神経が徐々に壊れ、全身の筋肉を動かすことが出来なくなる難病「筋委縮性側索硬化症(ALS)」の患者の細胞を用い、さまざまな細胞に変化できる新型万能細胞(iPS細胞)を作製することに、米ハーバード大学のケビン・エッガン博士らのチームが成功した。
iPS細胞から正常な運動神経を作ってALS患者に移植する再生医療の実現のほか、病気の原因解明や治療法開発に結びつくと期待される。
  米科学誌サイエンス(電子版)に1日掲載された。

Induced Pluripotent Stem Cells Generated from Patients with ALS Can Be Differentiated into Motor Neurons

 ALSは、脳から筋肉に指令を送る脊髄(せきずい)の運動神経が徐々に壊れ、筋肉を動かせなくなる病気。原因がほとんど分かっておらず、根本的な治療法もない。研究チームは遺伝性のALS患者(82)の皮膚の細胞に、山中伸弥・京都大教授が使った4個の遺伝子を導入してiPS細胞を作製。このiPS細胞から運動神経を作ることにも成功した。患者由来のこうした細胞を調べることで、「運動神経がなぜ死ぬかという病気の原因解明や新しい治療法開発に役立つ」と、研究チームは強調している。難病患者からiPS細胞を作製することに成功したのは世界初。京大や慶応大でも、同様に患者iPS細胞の作製を目指している。

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パーキンソン病のiPS細胞治療、ラットで成功
(読売新聞 2008年4月9日)

新型の万能細胞「人工多能性幹細胞(iPS細胞)」から作り出した神経細胞を使い、パーキンソン病のラットを治療することに、米マサチューセッツ工科大のルドルフ・ヤニッシュ教授らのグループが成功した。
iPS細胞が神経病の治療に使えることを初めて示した成果。米科学アカデミー紀要に7日発表した。
 研究グループは、マウスの皮膚からiPS細胞を作り、神経伝達物質のドーパミンを分泌する細胞に分化させた。パーキンソン病を人工的に発症させたラット9匹の脳に移植したところ、8匹の症状が改善、特有の異常動作がなくなった。パーキンソン病は、ドーパミン細胞の異常で手のふるえなどが起きる難病。移植した細胞がラットの脳内に定着し、ドーパミンを正常に分泌し始めたらしい。患者自身の皮膚などからiPS細胞を作れば、拒絶反応なしにこうした移植治療ができると期待される。

Neurons derived from reprogrammed fibroblasts functionally integrate into the fetal brain and improve symptoms of rats with Parkinson's disease

iPS細胞研究を行っている岡野栄之・慶応大教授(生理学)の話「これまでのES細胞(胚(はい)性幹細胞)研究から予想できる結果だが、治療法開発に向けた重要な一歩と言える。人のiPS細胞を使っても同様の結果が出るか注目される」

2008年6月24日火曜日

難病研究に7疾患を追加

HAMと原発性側索硬化症が難病指定になりそうです。

「難病研究に7疾患を追加 現行の対象と症状類似 」

 厚生労働省の難病対策に関する懇談会(金沢一郎(かなざわ・いちろう)会長)は23日、現在123疾患について研究班が原因や治療法を研究している「難治性疾患克服研究事業」の対象に、「原発性側索硬化症」など7疾患を追加することを決めた。7疾患の推定患者数は計約2万人。現行の対象疾患と症状などが似ているため、既存の研究班の研究対象にするという。原発性側索硬化症は運動神経に異常が生じ、徐々に全身の筋力が低下する疾患で、筋萎縮(いしゅく)性側索硬化症(ALS)と類似。またヒトT細胞白血病ウイルス(HTLV1)が原因の「HTLV1関連脊髄(せきずい)症(HAM)」は、歩行障害などの症状に共通点がある多発性硬化症の研究班が研究する。ほかに追加されるのは先天性魚鱗癬様紅皮症(ぎょりんせんようこうひしょう)、下垂体機能低下症、クッシング病、先端巨大症、有棘(ゆうきょく)赤血球舞踏病。懇談会はまた、これまで研究班がなかった難治性疾患についての研究分野も同事業に加えるべきだとして、研究計画を公募することを決めた。本年度末に新たな疾患の研究計画を決定、2009年度から研究を始める。
                                 [共同通信]

2008年5月18日日曜日

第49回日本神経学会総会

平成20年5月15日―17日パシフィコ横浜にて 第49回日本神経学会総会が開催。

当院より以下の演題を発表させていただきました。

「ALS患者におけるNIPPV下での径皮内視鏡的胃ろう造設術の検討」
   村上華林堂病院 神経内科 菊池仁志、田代博文 
            外科  大久保正一、久米徹

抄録
【目的】人工呼吸器(TPPV)装着前のALS患者では、嚥下障害に対して胃瘻造設術未施行のまま呼吸障害が先行し、胃瘻造設が困難となる場合がある。呼吸障害のある ALS患者の嚥下障害に対して非侵襲的陽圧換気法(NIPPV)下での経皮内視鏡的胃瘻造設術(PEG)を検討する。
【方法】呼吸機能低下、嚥下障害のあるALS患者6名(男性4例、女性2例)に対して、NIPPVによる補助換気下でPEGを施行した。NIPPVは全例鼻マスクを用い、経鼻用小径内視鏡を経口挿入し、X線透視下でダイレクト法によるPEGを施行した。
【結果】ALS患者6例ともPEG術中・術後ともに問題なく、経管栄養が施行可能となった。
【結論】TPPV装着前の呼吸機能が低下したALS患者には、鼻マスクによるNIPPV下での経鼻用内視鏡を用いたPEGは有効である。

2008年5月11日日曜日

第13回日本ALS協会福岡県支部総会

本日、福岡市市民福祉プラザにてALS協会福岡県支部総会が開催されました。

講演は、九州大学神経内科 立石貴久先生
 「ALS治療に関する最近の動向」

九州大学神経内科 神経難病担当の若手の先生です。
将来が期待されます。

2008年4月29日火曜日

TDP43

本日の新聞より・・

「ALS:新たな原因遺伝子、新潟大などが発見」
 筋肉が次第に動かなくなる難病「筋萎縮(いしゅく)性側索硬化症(ALS)」の新たな原因遺伝子を、新潟大の小野寺理准教授らが発見した。この遺伝子による「TDP43」というたんぱく質の異常が症状を引き起こすとしている。異常は約9割を占める非遺伝性ALSでもみられることから、原因究明が大幅に加速すると期待される。26日付の米神経学会誌で発表した。
 ALSは遺伝性と非遺伝性があり、運動をつかさどる神経が侵され、症状が進むと自力呼吸も難しくなっていく難病。非遺伝性ALS患者の神経細胞には、TDP43というたんぱく質が蓄積することがわかっている。しかし神経細胞が侵された結果として蓄積するのか、蓄積によって神経細胞が侵されるのかは不明とされていた。
 小野寺准教授らは、TDP43の異常がみられる一部の遺伝性患者を研究。TDP43をつかさどる遺伝子に異常が見つかったことから、TDP43が神経細胞を侵す原因であるとした。【渡辺暢】
(毎日新聞 2008年4月29日 東京朝刊)

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TDP43は昨年より、ALSの病因タンパク質として大変注目されておりました。TDP43はDNA結合タンパク質で、2007年、ペンシルバニア大学のV.Leeらのグループが、FTDおよびALSの剖検サンプルでTDP43タンパク質の異常蓄積を報告 (Science 314.5796,pp.130‐133,2007]。その後、孤発性ALSならびに家族性ALSでTDP43の遺伝子変異が報告されてきました (Lancet Neurology 7:409-416,2008) (Nature Genetics 40, 572 - 574 ,2008)
SOD1変異によるALSでは、TDP43の蓄積は見られないと言われていましたが、その後の研究により、SOD1変異パターンよってTDP43が蓄積するとの報告がなされるようになってます。孤発性ALSでも遺伝子異常がある場合があるということは、非常に意味があることと思います。

2008年4月27日日曜日

第一回福岡神経難病ケア研究会

平成20年2月26日第一回福岡神経難病ケア研究会が開催されました。
神経難病患者のQOL(Quality of Life, 生活の質)がテーマ。
ALSにはSEIQoL-DWやALSAQ-40、パーキンソン病には、PDQ39など疾患別のQOL評価が重要となてくるようです。

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Ⅰ.一般演題 [午後2時~]     座長:田中薫(高木病院神経内科部長) 

1.難病医療専門員による難病患者のための難病相談ガイドブックの作成
        ・・・・・・・・・・・・・・・・・・立石貴久1)、岩木三保2)、吉良潤一1)
         1)九州大学神経内科、2)福岡県難病医療連絡協議会
2.神経難病患者の在宅に向けての当院での取り組み
        ・・・・中原恵美1)、山下かおる1)、安高沙季子1)、上三垣かずえ2)
            1)産業医科大学病院神経内科病棟、2)難病コーディネーター  
3.呼吸障害のあるALS患者に対する胃瘻造設術
        ・・・・・・・・・・・菊池仁志1)、田代博史1)、大久保正一2)、久米徹2)
                     村上華林堂病院 1)神経内科  2)外科
4.神経難病長期入院患者のレクリエーション
        ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・湯田美由紀  北九州八幡東病院

5.神経難病患者のQOLに基づいた看護ケア
     ―SEIQoL-DWを用いたO氏の看護事例から―
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・内原和子1)、石坂昌子2)
      1)国立病院機構大牟田病院6病棟、2)九州大学大学院人間環境学府

Ⅱ.特別講演 [午後3時~]          座長 谷脇考恭(久留米大学神経内科教授) 
演 題 : 「神経難病患者のQOLを評価する」
講 師 : 大生 定義先生(立教大学社会学部社会学科)

2008年4月22日火曜日

神経疾患と福祉

昨日福岡リハビリテーション専門学校にて講義。
タイトルは「神経疾患と福祉」の90分授業
学生さんは、神経疾患を見たことない方が多いようでしたが、皆さんまじめに聴講されておりました。
リハビリテーションの方は、真面目な人が多いようです。

参考図書は、障害者福祉の世界この本は、障害者問題の歴史変遷から、思想展開、現在の福祉制度に関してわかりやすく解説しています。

2008年3月20日木曜日

潜水服は蝶の夢を見る

友人の勧めで潜水服は蝶の夢を見るを見た。
Total locked in syndromeのため意識は正常だが、からだは完全麻痺、左目の瞬きしかできなくなった主人公が自己の体験を書物にするまでの実話。瞬きだけでコミュニケーションをとらなければいけない患者側から見た世界を再認識させられる。

平成19年度佐賀県重症難病患者在宅療養支援者研修会

平成20年3月18日 佐賀市アバンセホールにて平成19年度佐賀県重症難病患者在宅療養支援者研修会が開催され、「重症神経難病患者の在宅療養支援の実際」と題した講演をさせていただきました。座長は、佐賀大学神経内科臨床助教授・小副川内科・外科副院長 小副川学先生。参加者は170名程度。 
佐賀県はまだ神経難病診療のネットワークシステムを作るに至っていないとのことで、やはり限られた病院での長期的療養が主体となっているようです。在宅療養というものには地域格差があり、財政の問題、患者負担の問題など都会と地方を同じようなスタンスで行うのは困難と思われます。佐賀県には、開業の神経内科専門医は16名がおられるようですが、今後の病診連携が期待されます。

2008年2月24日日曜日

シッコ

アメリカ医療の最大の特徴は、全国民を対象にした公的な国民皆保険制度がないことであり、民間医療保険が中心となって医療は保険商品の売り買いを基本とする市場原理のもとで行われる。「シッコ」という映画は、その実態を、極端ではあるが、分かり易く描写してます。営利目的の株式会社である民間保険会社に医療全てがゆだねられると恐ろしいことになる。保険会社と契約している医師は、保険が出来るだけおりないように診断することでボーナスや出世の道が与えられる。保険会社は保険料の支払いを抑えることで、巨額の富を得る。カナダ、イギリス、フランス、キューバ。。。映画の中で出てくるアメリカ以外の国々の医療は国民保険でカバーされています。米国の医療技術は世界最先端でありますが、医療保険はきわめて脆弱です。
日本の医療改革も医療分野の規制緩和、市場原理の導入など米国型を参考にして進んで行っている傾向にあるようですが、極めて危険な面があることを知っておく必要があると思います。

映画 シッコ 
病院の内側から見たアメリカの医療システム
実際にアメリカの医療経営の現場で学んだ著者が、分かり易くアメリカの医療システムを解説しています。
生命の政治学-福祉国家・エコロジー・生命倫理- (単行本) 広井 良典 (著)
生命倫理と宗教学、政治学、環境学などを組み合わせ、アメリカ型医療への偏重に警鐘を鳴らしています。自己決定型生命倫理が果たして本当に適当であるのか。福祉というものは包括的に物を見ていかなければならない、そこに営利はそぐわず、もっと国が支えていかなければならないのでは。。。アメリカは、国民皆保険がない分サイエンスに資金を回す。そしてそれは軍事につながる。アメリカの潤沢な研究費は、国民皆保険の代用なのでしょうか。。。。独自の切り口で、さまざまな問題を極めて分かり易くひも解いてくれます。


 

2008年2月22日金曜日

難病ヘルパー研修

平成20年2月22日 心身障害者センター(福岡)にて、神経難病患者のためのヘルパー研修が開催されました。「難病の基礎知識」に関する講義をさせていただきました。福岡市での神経難病に関するヘルパー講習は、今回が初めてだそうで3時間の講義でしたが、参加者約50名、皆さん熱心に聞かれていたようです。

2008年2月10日日曜日

脳卒中地域医療

平成20年2月9日 九州医療センターにて公開シンポジウム「継ぎ目なき質の高い脳卒中地域医療をめざして」が開催されました。
tPAの保険適応後、急性期脳梗塞の治療は目覚しく向上してきております。現在の問題点は、如何に脳梗塞の発症を見極め、より早く急性期病院に運べるか。そして、早期からの回復期リハビリへの移行、その後在宅もしくは施設への移行をより円滑に出来るかといったことです。そのためには、救急隊レベルでの見極めも重要になってきます。平成20年度からの福岡県医療計画のなかで、4疾患5事業(4疾患:がん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病 5事業:救急医療、災害医療、へき地医療、周産期医療、小児救急を含む小児医療)ごとの医療機関の機能分担が重点項目として挙げられておりますが、脳卒中に関しては、予防、急性期から回復期ー維持期への医療連携の充実が重要視され、目標設定年齢調整死亡率・受療率10%減、特定検診受診率70%以上などとなっています。

2008年1月14日月曜日

アルツハイマー病の治療

炎症が、神経細胞の変性を促進することが言われております。
炎症といっても一般的なかぜや発熱などでみられる炎症ではなく、脳の中の機能調節や清掃作業を行っているグリアという細胞のさまざまな反応が、神経細胞を刺激することで神経細胞死が引き起こされることがあります。その炎症性サイトカインの1つであるTNFαを阻害することがアルツハイマー病の治療で注目されているようです。
TNFα阻害剤は現在、慢性関節リウマチの治療で用いられていますが、将来アルツハイマー病への応用も期待できるのでしょうか。。。

Rapid cognitive improvement in Alzheimer's disease following perispinal etanercept administration. Journal of Neuroinflammation 2008, 5:

TNF-alpha modulation for treatment of Alzheimer's disease: a 6-month pilot study.

ただ、グリア細胞の活性による炎症を抑えることが、アルツハイマー病の促進を遅らせることが期待されていましたが、アスピリンには認知機能の改善には効果が無かったようです。
Aspirin in Alzheimer's disease (AD2000): a randomised open-label trial Lancet Neurology 2008; 7:41-49

TNFαの阻害剤に関しては、筋ジストロフィ-でも治療が期待されているようです。
Anti-TNF (Remicade®) therapy protects dystrophic skeletal muscle from necrosis. The FASEB Journal. 2004;18:676-682 

2008年1月8日火曜日

特定疾患患者の自立支援体制の確立に関する研究班

1月6日
厚生労働省の特定疾患患者の自立支援体制の確立に関する研究班に参加させていただきました。

今回の班会議では、難病相談支援センターの活動、ALSに対する治験の支援、在宅との医療連携、QOLへの支援、ピアカウンセリングの問題など多岐にわたるテーマが検討されておりました。