2008年4月29日火曜日

TDP43

本日の新聞より・・

「ALS:新たな原因遺伝子、新潟大などが発見」
 筋肉が次第に動かなくなる難病「筋萎縮(いしゅく)性側索硬化症(ALS)」の新たな原因遺伝子を、新潟大の小野寺理准教授らが発見した。この遺伝子による「TDP43」というたんぱく質の異常が症状を引き起こすとしている。異常は約9割を占める非遺伝性ALSでもみられることから、原因究明が大幅に加速すると期待される。26日付の米神経学会誌で発表した。
 ALSは遺伝性と非遺伝性があり、運動をつかさどる神経が侵され、症状が進むと自力呼吸も難しくなっていく難病。非遺伝性ALS患者の神経細胞には、TDP43というたんぱく質が蓄積することがわかっている。しかし神経細胞が侵された結果として蓄積するのか、蓄積によって神経細胞が侵されるのかは不明とされていた。
 小野寺准教授らは、TDP43の異常がみられる一部の遺伝性患者を研究。TDP43をつかさどる遺伝子に異常が見つかったことから、TDP43が神経細胞を侵す原因であるとした。【渡辺暢】
(毎日新聞 2008年4月29日 東京朝刊)

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TDP43は昨年より、ALSの病因タンパク質として大変注目されておりました。TDP43はDNA結合タンパク質で、2007年、ペンシルバニア大学のV.Leeらのグループが、FTDおよびALSの剖検サンプルでTDP43タンパク質の異常蓄積を報告 (Science 314.5796,pp.130‐133,2007]。その後、孤発性ALSならびに家族性ALSでTDP43の遺伝子変異が報告されてきました (Lancet Neurology 7:409-416,2008) (Nature Genetics 40, 572 - 574 ,2008)
SOD1変異によるALSでは、TDP43の蓄積は見られないと言われていましたが、その後の研究により、SOD1変異パターンよってTDP43が蓄積するとの報告がなされるようになってます。孤発性ALSでも遺伝子異常がある場合があるということは、非常に意味があることと思います。