2008年8月2日土曜日

iPS細胞

いよいよiPS細胞が応用されてきているようです。

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ALS患者の細胞からiPS細胞作製、米大学チームが成功
(2008年8月1日10時21分 読売新聞)

 運動神経が徐々に壊れ、全身の筋肉を動かすことが出来なくなる難病「筋委縮性側索硬化症(ALS)」の患者の細胞を用い、さまざまな細胞に変化できる新型万能細胞(iPS細胞)を作製することに、米ハーバード大学のケビン・エッガン博士らのチームが成功した。
iPS細胞から正常な運動神経を作ってALS患者に移植する再生医療の実現のほか、病気の原因解明や治療法開発に結びつくと期待される。
  米科学誌サイエンス(電子版)に1日掲載された。

Induced Pluripotent Stem Cells Generated from Patients with ALS Can Be Differentiated into Motor Neurons

 ALSは、脳から筋肉に指令を送る脊髄(せきずい)の運動神経が徐々に壊れ、筋肉を動かせなくなる病気。原因がほとんど分かっておらず、根本的な治療法もない。研究チームは遺伝性のALS患者(82)の皮膚の細胞に、山中伸弥・京都大教授が使った4個の遺伝子を導入してiPS細胞を作製。このiPS細胞から運動神経を作ることにも成功した。患者由来のこうした細胞を調べることで、「運動神経がなぜ死ぬかという病気の原因解明や新しい治療法開発に役立つ」と、研究チームは強調している。難病患者からiPS細胞を作製することに成功したのは世界初。京大や慶応大でも、同様に患者iPS細胞の作製を目指している。

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パーキンソン病のiPS細胞治療、ラットで成功
(読売新聞 2008年4月9日)

新型の万能細胞「人工多能性幹細胞(iPS細胞)」から作り出した神経細胞を使い、パーキンソン病のラットを治療することに、米マサチューセッツ工科大のルドルフ・ヤニッシュ教授らのグループが成功した。
iPS細胞が神経病の治療に使えることを初めて示した成果。米科学アカデミー紀要に7日発表した。
 研究グループは、マウスの皮膚からiPS細胞を作り、神経伝達物質のドーパミンを分泌する細胞に分化させた。パーキンソン病を人工的に発症させたラット9匹の脳に移植したところ、8匹の症状が改善、特有の異常動作がなくなった。パーキンソン病は、ドーパミン細胞の異常で手のふるえなどが起きる難病。移植した細胞がラットの脳内に定着し、ドーパミンを正常に分泌し始めたらしい。患者自身の皮膚などからiPS細胞を作れば、拒絶反応なしにこうした移植治療ができると期待される。

Neurons derived from reprogrammed fibroblasts functionally integrate into the fetal brain and improve symptoms of rats with Parkinson's disease

iPS細胞研究を行っている岡野栄之・慶応大教授(生理学)の話「これまでのES細胞(胚(はい)性幹細胞)研究から予想できる結果だが、治療法開発に向けた重要な一歩と言える。人のiPS細胞を使っても同様の結果が出るか注目される」