2008年2月24日日曜日

シッコ

アメリカ医療の最大の特徴は、全国民を対象にした公的な国民皆保険制度がないことであり、民間医療保険が中心となって医療は保険商品の売り買いを基本とする市場原理のもとで行われる。「シッコ」という映画は、その実態を、極端ではあるが、分かり易く描写してます。営利目的の株式会社である民間保険会社に医療全てがゆだねられると恐ろしいことになる。保険会社と契約している医師は、保険が出来るだけおりないように診断することでボーナスや出世の道が与えられる。保険会社は保険料の支払いを抑えることで、巨額の富を得る。カナダ、イギリス、フランス、キューバ。。。映画の中で出てくるアメリカ以外の国々の医療は国民保険でカバーされています。米国の医療技術は世界最先端でありますが、医療保険はきわめて脆弱です。
日本の医療改革も医療分野の規制緩和、市場原理の導入など米国型を参考にして進んで行っている傾向にあるようですが、極めて危険な面があることを知っておく必要があると思います。

映画 シッコ 
病院の内側から見たアメリカの医療システム
実際にアメリカの医療経営の現場で学んだ著者が、分かり易くアメリカの医療システムを解説しています。
生命の政治学-福祉国家・エコロジー・生命倫理- (単行本) 広井 良典 (著)
生命倫理と宗教学、政治学、環境学などを組み合わせ、アメリカ型医療への偏重に警鐘を鳴らしています。自己決定型生命倫理が果たして本当に適当であるのか。福祉というものは包括的に物を見ていかなければならない、そこに営利はそぐわず、もっと国が支えていかなければならないのでは。。。アメリカは、国民皆保険がない分サイエンスに資金を回す。そしてそれは軍事につながる。アメリカの潤沢な研究費は、国民皆保険の代用なのでしょうか。。。。独自の切り口で、さまざまな問題を極めて分かり易くひも解いてくれます。