2007年12月16日日曜日

ALS患者さまのための治験

当院では、新たにALS患者さんに対する治験をはじめております。
詳細は、以下のポスターをご参照下さい。

ALSに対する治療薬の開発

ミノサイクリンはその抗炎症作用より、ALSの治療薬として期待されていましたが、残念ながら逆の効果であったとの報告でした。
Efficacy of minocycline in patients with amyotrophic lateral sclerosis: a phase III randomised trial. Lancet Neurology 2007; 6:1045-1053


しかしながら、ドパミンアゴニストの光学異性体KNS-760704AL-08とセレコキシブとのカクテル合剤での治療薬の開発が期待されているようです。

ALSに関する最新の情報は、米国筋ジストロフィー協会のMDA/ALS news Magazine米国コロンビア大学のnews letterをご参照下さい。

2007年12月1日土曜日

福岡ブロック研修会

去る11月28日、29日と
福岡県重症神経難病患者入院施設確保等事業
福岡ブロック研修会が行われました。
当院からも4名の演者が講演をさせていただきました。

看護師、MSW、リハビリテーション師、医師など120名ほど参加者があり、経難病診療における問題点に関して活発なディスカッションが行われました。
長期入院の問題、看護力の問題、24時間在宅診療の可否、診療方針の決定などそれぞれの病院でかかえる問題は大きいようです。

場所:吉塚合同庁舎
【1日目】11月28日(水)
挨拶 九州大学神経内科 吉良潤一教授
★神経難病疾患の理解 
●疾患と診断、治療について
 九州大学病院 立石貴久
●神経難病患者の療養における医学的管理について
 村上華林堂病院 菊池仁志

 
★人工呼吸器の原理と実際 
 株式会社マルコ福岡営業所 所長 小川一彦

★神経難病患者の呼吸管理 
●病棟におけるNIPPVの導入・管理
 村上華林堂病院看護師長 深川知栄

●在宅現場における人工呼吸器の取り扱い、緊急時の対応
アムナス博多訪問看護ステーション 野田洋子

★運動障害のある神経難病患者の援助 
●移動と生活の工夫、リハビリテーション
 村上華林堂病院 リハビリテーション科 科長 北野晃祐

●神経難病患者のコミュニケーション支援 
 福岡市立心身障がい福祉センターリハビリテーション課 生活支援相談室 理学療法士 松野浩二

【2日目】11月29日(木)

★福岡県における難病制度について 
 久留米保健所保健師 伊藤福美

★福岡県重症難病医療ネットワークの紹介
難病医療専門員 岩木三保

★在宅療養支援体制の実際について
●病院から在宅療養へ
 村上華林堂病院 MSW 原田幸子

●在宅療養の支援
 アムナス博多 訪問看護ステーション 野田洋子

★患者家族のメンタルケアと支援者のセルフマネジメント 
 ひと息の村 看護師 白川美弥子

★グループワークと全体討議 

挨拶 九州大学神経内科 吉良潤一教授

2007年11月3日土曜日

看護スタッフ募集

当院で本格的に神経難病診療を初めて約1年が経ちました。おかげさまで少しずつ診療体制も出来つつあり、さらにスタッフの充実が求められるようにたってまいりました。
共に新しい形の神経難病診療を立ち上げていくために、病棟・在宅看護スタッフを募集しております。
旧来の神経難病診療は、長期入院によるケアが中心でありましたが、
当科は、神経難病患者さんの在宅療養を支えていくという新しい形の神経難病診療を目指しています。
入院に関しては、リハビリテーション、レスパイトケアを中心とし、在宅診療に関しても当院在宅診療部・訪問看護ステーションとの連携によりチーム医療をモットーとして病初期から包括的なケアを目指しております。

興味のある方は、こちらをご参照いただけたら幸いです。看護師募集要項(クリックしてください)
応募書類一式を当院 山浦 幸子宛に郵送、または事前に連絡の上、持参して下さい
医療法人財団 華林会 村上華林堂病院 山浦 幸子 宛
電話 092-811-3331

御一報お待ちしております。

神経内科 菊池仁志 他スタッフ一同

2007年10月8日月曜日

第4回日本難病医療ネットワーク研究会

去る10月6日、7日の2日間、大分県別府市にて第4回日本難病医療ネットワーク研究会が開催されました。

当院より以下の2題を発表させていただきました。

1.ALS患者の夜間ナースコールへの対応の検討
○深川知栄(1),山本幸恵(1),原田幸子(2),土井良弓子(1),島奈美枝(1),西川志帆(1),安永悦子(1),小山清美(1),菊池仁志(2)
医療法人財団華林会 村上華林堂病院(1)看護部 (2)地域医療連携室(3)神経内科 

2.ALS患者に対するリハビリテーション満足度調査 
~ 患者・病棟スタッフ・リハビリテーションスタッフの視点 ~
○北野晃祐(1),菊池仁志(2) ,山口良樹(1),棚町久美(1),田代博史(2),深川知栄(3) 
医療法人財団華林会 村上華林堂病院 (1)リハビリテーション科(2)神経内科(3)看護部

抄録
1.ALS患者の夜間ナースコールへの対応の検討
【背景】当院では平成18年12月に神経難病病棟を立ち上げ、神経難病患者の入院を積極的に行っている。神経難病患者なかでもALS患者に関しては、夜間のナースコールの頻度が極めて多く、さらにはコミュニケーションが困難であることが、入院受け入れ時の大きな問題点となる。
【目的】 神経難病病棟におけるALS患者の夜間のナースコール回数とケアに要する時間を調査し、ALS患者の要求事項をとそれに対する看護師の対応を検証することで、神経難病病棟におけるALS患者に対するケアの向上を図る。
【方法】 神経難病病棟のALS患者に対して、夜間 17:00~8:00までのナースコール回数とケアに要する時間、訪問回数に関するフローシートを作成した。それを用いて、患者側のナースコール時に訪室した回数(受動的訪室回数)とナースコールが鳴らなくても積極的に看護師側から病室に訪室した回数(能動的訪室回数)、さらには、一日あたりのナースコールの回数とケアにかかる時間を調査し、相関解析により比較検討した。<対象>症例① ALS患者、70才代女性 罹病期間2年、NIPPV装着中、入院期間6ヶ月以上。症例② ALS患者、60才代女性 罹病期間6年、入院期間2週間、意思伝達装置使用中
【結果】症例① 調査期間29日間(1)ナースコール回数(=看護師の受動的訪室数):総回数414回 一日平均14.3回(最小1回、最大35回)、看護師訪室回数:総訪室回数634回、一日平均訪室回数21.9回(最小11回、最大37回)、能動的訪室回数:総会数220回、一日平均訪室回数7.6回(最小0回、最大31回)。夜間ナースコール回数と看護師の能動的訪室回数の相関解析では、相関係数r=-0.34と負相関する傾向にあり、看護師側から積極的に訪室することでナースコール回数が減少することが示された。(2)ナースコール1回あたりの平均滞在時間(ケア時間)(1-13分、平均4.5分)とナースコール数の相関解析(調査機関14日)では、相関係数r=-0.69と負の相関を示し、滞在時間が長いとナースコールの回数が少なくなることが示された。要求事項は、NIPPV操作、排便、食事に関するものが多かった。症例② 調査機関11日(1)ナースコール回数:総回数264回、一日平均24回(最小17回、最大45回)、能動的訪室回数:総回数26回、一日平均2.4回。夜間ナースコール回数と看護師の能動的訪室回数の相関解析では、相関係数r=-0.53と負の相関を示し、看護師側から積極的に訪室することでナースコール回数が減少することが示された。(2)ナースコールの要求事項に関しては、吸引および体位変換が主な要求事項であった。症例①、②ともナースコール回数にかかわらずケアに要した総時間数に大きな差は見られなかった。
【考察】本研究より、夜間帯で看護師側から積極的に訪室すること、さらに看護師のケアの滞在時間を十分にとることでALS患者のナースコール回数が減少することが示された。ALS患者の夜間帯の看護師による積極的な訪室と十分なケアを心がけることで、看護師側のペースを保ちながら効率的にALS患者に対するケアができると考えられる。

2.ALS患者に対するリハビリテーション満足度調査 
【背景】 当院では平成18年8月以降,神経難病患者に対する専門的な診療を行っている.なかでもALS患者に関しては,平成18年8月から平成19年5月にかけて30名が神経内科を受診し,内26名に対して理学療法・作業療法・言語聴覚療法・摂食嚥下療法・訪問リハビリテーションを実施してきた.ALS患者は,難治性・進行性であるが,リハビリテーション療法の重要性は認識されている.しかしながら,ALSのチーム医療における医療スタッフや患者に対する個々のリハプログラムの有用性に関する詳細な検討は少ない.
【目的】 ALS患者に対するチーム医療において,リハビリテーションプログラムの必要性を検証し,より満足度の高いリハビリテーション療法の提供を目指す.
【対象と方法】 当院医療スタッフおよびALS患者に対して,以下の点に関してアンケート調査を施行した.①当院リハビリテーション科スタッフ(PT 11名,OT 7名,ST 2名)に対し,ALS患者に実施したリハビリテーションのアプローチを調査.②当院障害者等一般病棟看護師15名に対し,ALS患者に必要と考えられるリハビリテーションプログラムを調査.①,②に関しては,任意の回答を集計し,③ALS患者(もしくはその家族)20名(平均59.6±18.4歳)に対して①で抽出されたリハビリテーションプログラムの中で満足度が高いもの3つを選択していただいた.これらの結果を通じて,患者・病棟スタッフ・リハビリテーションスタッフの各方面からリハビリテーションプログラムの必要性の検討を行い,患者満足度の高いプログラムを検討した.
【結果と考察】 ①リハビリテーション科スタッフに対する調査では,ALS患者には,関節可動域訓練(ストレッチ)と筋力運動がほぼルーチン的に実施されており,二次的廃用の予防を図るのに重要なプログラムとの共通の認識があった(施行プログラムの合計246の内,95プログラム:39%).また,ホームプログラムの指導も重要視されており(15/246プログラム:6%),退院後の継続したリハビリテーションの重要性を示していると考えられた.②看護師に対する調査では,ADL訓練に対する要望が高かった(全28回答項目の内,15項目:54%).これは,リハビリテーションによりADLの向上を行うことで,看護負担や介助量の軽減を期待しているものと思われる.③ALS患者20名中14名から得た患者満足度調査では,ストレッチや関節可動域訓練(回答プログラムの合計41の内,16プログラム:39%),筋力運動(8/41プログラム:19%)への満足度が高く,筋萎縮や筋線維束攣縮・拘縮など,目に見える問題に対する直接的なアプローチへの期待が高いと考えられた.
【結論】 アンケート調査の結果より,それぞれの職種およびALS患者が,リハビリテーションに期待する共通点や相違点を明らかにすることができた.その結果,ALS患者では,関節可動域訓練や筋力運動に基づくADLの向上が重要と考えられた.今後はさらに,多専門職種によるチーム医療の中でのリハビリテーション療法のあり方を検証し,より患者満足度の高いリハビリテーションを供給していくことが重要である.

2007年10月7日日曜日

業績(学会発表・講演・論文など)

2014年

★講演
1.菊池仁志.神経難病の人工呼吸療法.福岡県重症神経難病医療ネットワーク・西澤班分科会1合同研修会・合同難病医療シンポジウム(201431日,福岡市)
2.菊池仁志.在宅神経難病患者の総合支援体制について.北海道医療センター「神経・筋」研修会 (2014215日,札幌市)
3.丸山俊一郎.音楽療法について.(2014年2月21日,佐賀市)
4.丸山俊一郎.パーキンソン病のリハビリテーションと音楽療法.日本神経学会東海北陸
  地区生涯教育講演会(201432日,名古屋市)

2013年

★論文・著書
1.菊池仁志. 9ケアネットワーク.2.専門病院と地域病院との連携を知る.新ALSケアブック・第二版.P 255-260, 2013

★講演
1.菊池仁志.レスパイト入院を中心とした在宅神経難病患者の総合支援体制について.第29回熊本神経難病研究会(201396日,熊本市)

2.丸山俊一郎.パーキンソン病の音楽療法について.パーキンソン病市民公開講座(20131124日,福岡市)

★学会発表等
1. 菊池仁志、原田幸子、荒木智佳、宮原美佐、田代博史、丸山俊一郎、馬場園明.計画的レスパイト入院におけるALS患者・介護者のQOL評価と健康保険費用の実態調査.第54回日本神経学会総会(2013529日、東京)
2.笹ヶ迫直一,古谷博和,渡邉暁博,荒畑創,藤井直樹、高田博仁、小尾智一,溝口功一、菊池仁志、松浦徹、本田裕之, 岩城 徹、服巻保幸.長期経過した筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者の臨床・画像所見及び遺伝子解析.201361日、東京)
3.原田幸子 日本難病ネットワーク学会(2013年 大阪)
4.菊池仁志、原田幸子、荒木智佳、宮原美佐、北野晃祐、馬場園明.計画的レスパイト入院におけるALS患者の健康保険及び介護保険費用と患者・介護者のQOL評価.厚生労働省「希少性難治性疾患患者に関する医療の向上及び患者支援のあり方に関する研究」班会議(20131211日、東京)

2012年

★論文

菊池仁志 「ALS患者のレスパイト入院に関する医療経済分析」 難病と在宅ケア.2012Vol18No2, p22-25,

★講演
1.日本ALS協会総会 平成24年度通常総会 講演.  ALSを中心とする在宅神経難病患者の総合支援体制について(2012年5月26日,東京)

2.1回 兵庫県神経難病呼吸ケアセミナー. 人工呼吸器装着を装着した神経難病患者と家族の総合支援~レスパイト入院を中心として」(2012年5月26日,兵庫県)

3.脊髄小脳変性症について  福岡市城南保健所 (10月5日、福岡市) 
4.神経難病について     福岡市西区保健福祉センター(11月27日、福岡市) 

2011年

★講演

1.菊池仁志 レスパイト入院を軸とした在宅ALS患者・家族への総合支援 筑紫保健所講演会 (平成23年3月4日)

2.菊池仁志 認知症について 小野薬品社内研修会(平成23年8月10日 福岡市)

3.菊池仁志 パーキンソン病について ノバルティスファーマー社内研修会(平成23年9月7日 福岡市)

4.菊池仁志 レスパイト入院を軸とした在宅ALS患者・家族への総合支援 第2回 ALSフォーラム (平成23年8月27日 東京ドームホテル)

★学会・研究会発表

1.ALS患者の終末期医療の現状報告.菊池仁志、田代博史、野島真千恵、深川知栄、芥川泰子  
村上華林堂病院 神経内科、在宅診療部、看護部 
(第52回 日本神経学会総会 2011年5月20日 名古屋)

2.レスパイト入院患者のその後~当院利用患者の5年間の検証~ ○深川知栄1)、原田幸子2)、丸山俊一郎3)、田代博史3)、菊池仁志3) 1)医療法人財団華林会村上華林堂病院看護部、2)同院MSW、3)同院神経内科
(第8回日本難病医療ネットワーク研究会 2011年10月28日 長崎)

3. 神経難病患者に携わる看護師への食事・コミュニケーション障害に関するアンケート調査 ○木村一喜1)、北野晃祐1)、田町真純1)、深川知栄2)、木村明日香2)、菊圪仁志3) 1)医療法人財団華林会村上華林堂病院リハビリテーション科、2)同院看護部、3)同院神経内科
(第8回日本難病医療ネットワーク研究会 2011年10月28日 長崎)


2010年

★講演
1.菊池仁志「レスパイト入院を軸とした在宅神経難病患者・家族の総合支援」
第8回三島・北河内地域神経難病ネットワーク研修会(特別講演)(平成22年9月4日 大阪府)

2.菊池仁志「在宅神経難病患者・家族への総合支援 -レスパイト入院を中心としてー」
第7回 日本難病医療ネットワーク研究会 (ランチョンセミナー)(平成22年10月1日 横浜市)

3.菊池仁志「神経難病患者さんへの全人的医療を目指して」-チーム医療による在宅神経難病患者・家族の救済. 
第3回神経筋疾患在宅人工呼吸ケアフォーラム (基調講演) (平成22年10月9日 福岡市)

4.菊池仁志「パーキンソン病について」GSK社内研修会(平成22年10月20日 福岡市)

5.菊池仁志「レスパイト入院を軸とした在宅神経難病患者・家族の総合支援」
第4回南大阪地域における神経難病医療ネットワーク研究会(特別講演)(平成22年12月18日 大阪府)

★学会・研究会発表
1.筋萎縮性側索硬化症の病型別予後の検討
村上華林堂病院 神経内科 菊池仁志、田代博史、西口明子
同 内科  渡辺真、光吉陽子  九州大学 神経内科  立石貴久
第51回日本神経学会総会(平成22年5月20日‐22日 東京都)
2.当院で作成した神経難病患者情報提供書の連携に対する有用性と必要性
山本知佳1)、北野晃祐1)、福崎逸美1)、今村怜子1)、深川知栄2)、田代博史3)、菊池仁志3)
1)村上華林堂病院 リハビリテーション科  2)同 看護部  3)同 神経内科
第7回 日本難病医療ネットワーク研究会 (平成22年10月1日 横浜市)

3.当院における定期レスパイト入院の有効性の検証 ~多次元介護負担尺度(BIC-11)を使用して~
○深川 知栄1 森山千恵子1 田代英子1 上原奈緒1 吉岡朋子1 原田幸子2 菊池仁志3       医療法人財団華林会 村上華林堂病院 看護部1  MSW2  神経内科医3
第7回 日本難病医療ネットワーク研究会 (平成22年10月1日 横浜市)

座長

第7回 日本難病医療ネットワーク研究会 (平成22年10月2日 横浜市)


2009年

★講演

1.菊池仁志「難治性神経疾患患者のみかた・考え方」 
福岡市西区医師会学術講演会(平成21年4月17日、福岡、エバーグリーンマリノアホテル)

2.菊池仁志「ALS患者さんの在宅療養をいかに支えていくか」
-病院主導による総合的在宅サポート体制の実際‐
日本ALS協会福岡県支部総会(平成21年6月22日、福岡、市民福祉プラザ)

3. 菊池仁志「レスパイト入院-在宅神経難病患者・家族の救済のために」
佐賀中部在宅重症難病患者への地域ケア研修会(平成21年12月20日、佐賀市保健福祉会館)

座長

第6回 日本難病医療ネットワーク研究会 (平成21年10月8日 三重県津市)

★学会・研究会発表
1. 「病院主導による在宅神経難病患者支援システムの構築」
菊池仁志 1,田代博史 1,2,原田幸子 3 ,深川知栄 4 ,橋本美加 2,光吉陽子 5 ,渡邊真 5
医療法人財団華林会 村上華林堂病院
1.神経内科 2.在宅診療部 3.MSW 4.看護部 5.内科 
第50回日本神経学会総会(平成21年年5月2日、仙台) 

2. 当院における在宅神経難病患者支援体制 ~計画的レスパイト入院システムの構築~
原田幸子1)、八島佐知1)、深川知栄2)、橋本淳子3)、橋本美加4)、田代博史4) 5)、菊池仁志5)
村上華林堂病院 1)医療相談室 2)看護部 3)居宅介護支援事業所「かりん」 4)在宅診療部 5)神経内科
第6回 日本難病医療ネットワーク研究会 (平成21年10月8日 三重県津市)

3. 神経難病診療における職種・施設間連携に関するアンケート調査
~ 患者情報共有によるよりよい連携を目指して ~
○北野晃祐1)、山本知佳1)、本田直也1)、深川知栄2)、田代博史3)、菊池仁志3)
1)村上華林堂病院 リハビリテーション科  2)同 看護部  3)同 神経内科
第6回 日本難病医療ネットワーク研究会 (平成21年10月8日 三重県津市)

2008年

★論文
1.増山慎二、北野晃祐、菊池仁志.「キネシオテープがALS患者の筋出力、疼痛軽減に与える影響」
難病と在宅ケア Vol 14 No.8 p34-36, 2008

★講演

1.菊池仁志「重症神経難病患者の在宅支援の実際」 
平成19年 重症難病患者在宅療養患者支援者研修会、(平成20年3月18日、佐賀市アバンセホール)

2.菊池仁志「眼の症状から見える神経疾患」~気づいていますか?眼からのサイン~
福岡ブロック難病従事者研修会 (平成20年度11月13日、吉塚合同庁舎)

3.菊池仁志「協力病院の立場から、難病ネットワーク事業へ期待すること」
福岡県重症神経難病ネットワーク10周年記念シンポジウム
(平成20年12月3日、九州大学医学部百年講堂)

4.菊池仁志「ALS診療の現状」
佐賀県MSW講習会 (平成20年12月5日、佐賀医科大学)

★学会・研究会発表
1.呼吸障害のあるALS患者に対する胃ろう造設術
村上華林堂病院 神経内科 菊池仁志、田代博文
外科 大久保正一、久米徹
第1回福岡神経難病ケア研究会(平成20年 4月26日、福岡) 
2.ALS患者におけるNIPPV下での径皮内視鏡的胃ろう造設術の検討
村上華林堂病院 神経内科 菊池仁志、田代博文 
外科 大久保正一、久米徹
第49回日本神経学会総会 (平成20年5月16日、横浜)

3.当院ALS患者における病型・重症度と福祉用具導入時期の調査・報告とその有用性
○植松浩巨1)、佐々木勝哉1)、北野晃祐1)、菊池仁志2)
1)村上華林堂病院 リハビリテーション科 2)同 神経内科
第5回日本難病医療ネットワーク研究会 (平成20年8月28日、東京 船堀タワーホール)

4.神経難病患者の在宅支援
○中村 弘子1)、 原田 幸子2) 、 橋本 美加3) 、  森 龍子4)
1) 訪問看護ステーションかりん 2) 村上華林堂病院MSW    
3) 村上華林堂病院在宅療養部  4) 居宅介護支援事業所「かりん」
第5回日本難病医療ネットワーク研究会 (平成20年8月28日、東京 船堀タワーホール)

2007年
★講演
1.村上華林堂病院神経内科の診療紹介 村上華林堂病院 菊池仁志
合同勉強会  (平成19年2月6日、福岡 交通センター)

2.平成19年度パーキンソン病教室「パーキンソン病について」
講師:村上華林堂病院 神経内科 医師 菊池 仁志 (平成19年6月27日、福岡早良区役所)

3.ALS診療の現状 -ALS患者さんに如何に接していくかー 村上華林堂病院 菊池仁志
福岡神経難病チーム医療カンファレンス (平成19年10月9日、アクロス福岡)

4.神経難病患者の療養における医学的管理について
村上華林堂病院 菊池仁志 
(平成19年11月28日、福岡県重症神経難病患者入院施設確保等事業福岡ブロック研修会吉塚合同庁舎)

5.神経難病患者の呼吸管理 病棟におけるNIPPVの導入・管理
村上華林堂病院看護師長 深川知栄 
(福岡県重症神経難病患者入院施設確保等事業福岡ブロック研修会、平成19年11月28日、吉塚合同庁舎)

6.運動障害のある神経難病患者の援助 移動と生活の工夫、リハビリテーション
村上華林堂病院 リハビリテーション科 科長 北野晃祐
(福岡県重症神経難病患者入院施設確保等事業福岡ブロック研修会、平成19年11月28日、吉塚合同庁舎)

7 在宅療養支援体制の実際について 病院から在宅療養へ
村上華林堂病院 MSW 原田幸子 
(福岡県重症神経難病患者入院施設確保等事業、福岡ブロック研修会平成19年11月29日、吉塚合同庁舎)

★学会・研究会発表
1.村上華林堂病院におけるALS診療の紹介.
菊池仁志、田代博史、深川知栄、土井良弓子、北野晃祐、山口良樹.(第14回福岡ALSケア研究会 2007年4月21日 福岡)  

2.当院の神経難病病棟における在宅療養支援の現状 -事例を通してー.
深川知栄、倉田美由紀.(第14回福岡ALSケア研究会 2007年4月21日 福岡)

3.民間病院における神経難病診療立ち上げに関する検討
菊池仁志(1)、田代博史(1,2)、深川知栄(3)、土井良弓子(3)、北野晃祐(4).(1) 神経内科,(2)在宅診療科,(3) 看護部,(4)リハビリテーション科(第48回日本神経学会総会 2007年5月16日 名古屋)

4.ALS患者の夜間ナースコールへの対応の検討.深川知栄(1),山本幸恵(1),原田幸子(2),土井良弓子(1),島奈美枝(1),西川志帆(1),安永悦子(1),小山清美(1),菊池仁志(2).(1)看護部,(2)地域医療連携室,(3)神経内科 (第4回日本難病医療ネットワーク研究会 2007年10月7日 別府(大分))

5.ALS患者に対するリハビリテーション満足度調査~ 患者・病棟スタッフ・リハビリテーションスタッフの視点 ~.北野晃祐(1),菊池仁志(2) ,山口良樹(1),棚町久美(1),田代博史(2),深川知栄(3).(1)リハビリテーション科,(2)神経内科,(3)看護部(第4回日本難病医療ネットワーク研究会 2007年10月6日 別府(大分))

6.ALS患者の夜間ナースコールへの対応の検討.村上華林堂病院看護師長 深川知栄. 福岡神経難病チーム医療カンファレンス (平成19年10月9日、アクロス福岡)

7.ALS患者に対するリハビリテーション満足度調査. 村上華林堂病院 リハビリテーション科 科長 北野晃祐. 福岡神経難病チーム医療カンファレンス (平成19年10月9日、アクロス福岡)

総説・著書・その他
1.菊池仁志. コラム「民間病院における神経難病診療立ち上げと難病医療専門員の重要性」 難病医療専門員による難病患者のための難病相談ガイドブック.(吉良潤一編,九州大学出版)p116-118.2007年
2.立石貴久、吉良潤一、菊池仁志、石坂昌子、岩木三保、北山修.「ALS患者の心理状態の評価」難病医療専門員による難病患者のための難病相談ガイドブック.(吉良潤一編,九州大学出版)p177-181.2007年


2006年 
★講演 
村上華林堂病院における神経難病診療について
第11回 九州大学病院地域医療連携センター講演会 
(2006年12月5日、福岡 九州大学病院大講堂)
★座長 
第3回日本難病医療ネットワーク研究会(2006年9月29日、大阪)

★学会発表
1.Kikuchi H, Tateishi T, Ishizaka M, Iwaki M, Kitayama O, Kira J.Evaluation of psychological state in ALS patients using the Profile of Mood States. 17th International Symposium on ALS/MND(2006年12月1日、横浜) 
2.Tateishi T, Iwaki M, Kikuchi H, Nakai T, Kira J.The activity of the regional medical health care network for seriously intractable neurological diseases in Japan.17th International Symposium on ALS/MND(2006年12月1日、横浜)
3.Tanaka M, Kikuchi H,Tateishi T, Motomura K, Kira J. Changes in granulocyte colony stimulating factor and its receptor in the CNS of amyotrophic lateral sclerosis.17th International Symposium on ALS/MND(2006年12月1日、横浜)
4.Shi N, Kawano Y, Kikuchi H, Osoegawa M, Oyagi Y and Kira J.
Increased IL-13 but not IL-4 production by CD4-positive T cells and CD8-positive T cells in amyotrophic lateral sclerosis.(2006年12月1日、横浜)
17th International Symposium on ALS/MND
第17回国際ALSシンポジウム

★総説・著書など
1.菊池仁志、岩木三保、吉良潤一.第8章 長期療養とケア 新ALSケアブック 
2.Nagai M,Kikuchi H,Przedborski S. Chapter 17: Animal Models of ALS Amyotrophic Lateral Sclerosis (Neurological Disease and Therapy)
3.菊池仁志、岩木三保、吉良潤一「福岡県重症神経難病ネットワーク」モダンフィジシャン Vol.22 No.5 2002-5:P645-651

その他多数

2007年9月16日日曜日

ホスピタルレポート

「最新医療経営」 2007年10月号のホスピタルレポート 「神経難病診療への取り組み」のなかで当院神経内科の診療が紹介されました。

当科における2006年8月から2007年7月までの主な神経難病患者症例数は、パーキンソン関連疾患(パーキンソン病、進行性核上性麻痺、パーキンソン症候群)50例以上、ALS 37例、脊髄小脳変性症・多系統萎縮症 18例、多発性硬化症 3例、多発筋炎 3例、重症筋無力症 2例でありました。
今後もよりよい体制を作って行きたいと思います。

2007年9月15日土曜日

ナラティブアプローチ

難治性慢性疾患の患者さんに対する対応としては、治療だけでは片付けられない問題が多く、その患者本人のこれまでの人生の語りや現状に対する物語付けが重要になってきます。

ナラティヴと医療
江口 重幸 (著), 江口 重幸; 野村 直樹; 斎藤 清二 (編集)
医療という現状からナラティブアプローチを多角的にそれぞれの著者が解説しています。非常に分かり易い本です。

医療倫理学の方法―原則・手順・ナラティヴ
宮坂 道夫 (著)
医療倫理の観点から、倫理的考え方を原則論(倫理4原則)、手順論(Jonsen 4分割法など)、物語論(ナラティヴ)と3つに分けて、医療倫理4原則(自律尊重、無危害、恩恵、正義)に帰結する方法論を展開しています。この本は、ナラティブアプローチを用いた医療倫理的考察をする上で非常に参考になります。
宮坂道夫氏ホームページ

ナラティヴの臨床社会学
野口 裕二 (著)
社会学の立場から、現実は言葉と関係性で構成されるという考えに基づく社会構成主義などを通して、医療的な問題にも踏み込んだ内容の本です。

病いの語り―慢性の病いをめぐる臨床人類学
アーサー クラインマン (著), Arthur Kleinman (原著), 江口 重幸 (翻訳), 上野 豪志 (翻訳), 五木田 紳 (翻訳)
臨床人類学的考え方を通して、慢性的な疾患に対する、語りを通したアプローチを実際の症例を通して解説しています。かなり重厚な内容です。 

2007年7月30日月曜日

スピリチュアリティ

 7月19日 元文化庁長官で、臨床心理学者の河合隼雄先生がお亡くなりになられました。河合隼雄氏はユング研究者の第一人者で、日本人で初めてユング派分析家の資格を取らております。ユングの心理学の中で興味深いものに、「共時性」というものがあります。偶然の一致は起こるべくして起こるというものです。スピリチュルアルケアの上でも考えさせられるものがあります。

 神経難病患者やホスピスケアの領域ではスピリチュアリティーの問題は大切な分野であり、当院にも臨床心理士が在中し、それらの患者様の心のケアを行っております。
 ホスピスと神経難病には、メンタルサポートと言う面では共通する部分が多いと思います。そこには、死生観を含めたスピリチュアリティーの問題が大きくかかわってきます。実際、欧米では、神経難病患者もホスピスに入り療養する場合が多いです。ただ、癌のターミナルケアと神経難病の大きな違いは、そのtime spanと介護度の違いにあるのでしょう。また、癌患者の問題の主体は、痛みのコントロールであり、神経難病患者の問題の主体は家族による介護の問題が大きな部分を占めています。特に家族ぐるみの介護の問題と言うのは、「個」を重んじる欧米人の社会構造より、「家」を重んじる日本的な社会構造の問題が大きいのかもしれません。
 ホスピスの世界では、キュブラーロスがdepth of lifeを唱え、シシリーソンダースがペインコントロールを主体としたQOLの向上を発展させることでホスピス運動の基盤が作られてきました。これらのホスピス運動の中に、運動神経系疾患に対するホスピスケアの問題も挙げられています。当院には、神経難病病棟とホスピス・緩和ケア病棟がありますので、今後、さまざまなスピリチュアリティーに対する理解を深め、意識の向上を図って行きたいものです。

参考図書
 医療倫理学 丸山マサ美編
  医療倫理に関する入門書です。

 死をめぐる自己決定について
  少し古い本ですが、死生観からみた終末期医療を考察しています。

 死ぬ瞬間―死とその過程について
 キュブラーロスの代表作。末期がん患者のインタビューより、死に行く人の心理過程の5段階を提唱。この5段階に関するロスの考え方は、5段階だけ羅列して話を聞いてもよく分からないが、この本を読んでみてなるほどと理解できる部分が多い。しかし、ロス自身は、晩年苦しんでいたとのこと。。。

 尊厳死か生か
  難病病棟の立ち上げの体験から、ALS患者の人工呼吸器装着に関する問題まで、一現場のさまざまさスタッフの意見が述べられています。 

2007年7月16日月曜日

同門会

7月14日 九州大学神経内科同門会が、九州大学百年講堂で開催されました。
特別講演は、新潟大学神経内科 西澤正豊教授の「運動失調症の分子病態」でした。
脊髄小脳変性症もずいぶん色々なことが分かってきているようです。

2007年7月1日日曜日

在宅診療部

本年6月より当院の在宅診療部がスタートしております。
部長は神経内科専門医である田代博史先生です。
神経難病の在宅診療を中心に、病棟との連携行うことで、患者様のQOLの向上、満足度の向上、介護者、家族のレスパイトケアを円滑に行っていきたいと考えております。
よろしくおねがい申し上げます。

2007年6月30日土曜日

村上華林堂病院 開院25周年記念

先日(6月29日)当院の開院25周年記念パーティーがシーホークホテルにて開催されました。
特別講演は九州大学神経内科吉良潤一教授より「福岡県重症神経難病ネットワーク10年の歩み」に関する御講演をいただきました。
祝賀会では、チェロの演奏や感謝状の贈呈など、たいそう盛り上がった会でありました。開放型登録病院の先生方も数多く参加され、総勢200人程度は集まっていたと思います。

村上華林堂(病院)の由来については、中津奥平藩の御殿医である村上医家6代目村上玄秀の屋号であります。本院は中津の村上記念病院として現在村上12代目が継承し、創業300年を迎えております。村上華林堂病院はこの村上記念病院の分院であり、今年で25周年になります。村上記念病院は中津の観光名所の一つになっており、村上医家資料館に代々の歴史産物が保存されております。
村上医家思想は「医も亦自然に従う」(病を看るより病人を看よ)であり、病気だけにとらわれず、苦しんでいるその人を看よという考えです。かくゆう私も村上医家の末裔でありまして、この思想を大切にしていきたいと思います。

2007年6月17日日曜日

日本ALS協会福岡県支部第12回総会

本日 日本ALS協会福岡県支部第12回総会が福岡市市民福祉プラザで開催されました。

特別講演は佐賀大学理工学部・知能情報システム学科 新井康平教授による「ALS患者の視線によるコンピューター入力・意思疎通支援システム」

視線を認識することで、コンピュータを操作するシステムを開発されている先生です。

      

      

2007年6月13日水曜日

平成19年度パーキンソン病教室のご案内

福岡市早良保健所より
平成19年度パーキンソン病教室のご案内

早良保健所では、パーキンソン病の患者さんとご家族を対象に
右記のとおり「パーキンソン病教室」を開催いたします。
対象:福岡市内にお住まいのパーキンソン病の患者及びご家族
定員80名(付き添いの方を含む)
要予約!
皆さまからのお申し込みを心よりお待ちしております。
参加ご希望の方は下記までお電話でご連絡ください。
【お申し込み先】
早良保健所 健康課 特定疾患担当 〈電話〉851-6012
主 催:早良保健福祉センター(早良保健所)
協 力:パーキンソン病友の会福岡県支部

回 日 時 会 場 内 容
第1回   6月27日(水) 14:00~16:00 早良保健所 1階 講堂
・開講式
・医師による講演会
「パーキンソン病について」
講師:村上華林堂病院 神経内科 医師 菊池 仁志 先生

第2回  9月19日(水) 14:00~16:00 早良保健所 1階 講堂
・講話と実技
「パーキンソン病のリハビリテーション」
講師:川浪リハビリテーション病院
作業療法士
・パーキンソン病体験談
第3回 11月28日(水) 14:00~16:00 早良保健所 1階 講堂
・交流会
「パーキンソン病患者の体験を語ろう」
講師:福岡大学医学部 神経内科 教授 山田 達夫 先生
・ 閉講式

2007年5月21日月曜日

第48回日本神経学会総会

2007年5月16日(水曜日)~18日(金曜日)まで第48回日本神経学会総会が開催され、当院からも以下の演題を発表させていただきました。

民間病院における神経難病診療立ち上げに関する検討
菊池仁志(1)、田代博史(1,2)、深川知栄(3)、土井良弓子(3)、北野晃祐(4) 
1 神経内科  2 在宅診療科  3 看護部  4 リハビリテーション科

2007年5月13日日曜日

全国パーキンソン病友の会福岡県支部総会

本日全国パーキンソン病友の会福岡県支部第24回定期総会に出席しました。

神経疾患の中でもパーキンソン病は比較的多く、有病率は本邦では人口10万人当たり100~150人程度と言われております。ドーパミンに関連する代償療法は進んでいますが、根本的な神経細胞死を抑える治療はなかなか困難です。 

最近自治医大でパーキンソン病に対する遺伝子治療が試みられ話題になっているようです。

2007年4月26日木曜日

アストロサイト

 Astrocytes expressing ALS-linked mutated SOD1 release factors selectively toxic to motor neurons.Nat Neurosci. 2007 May;10(5):615-622. Epub 2007 Apr 15

ALSではアストロサイトは、悪者でしたか。。。
神経細胞を取り巻く環境には、アストロサイトやミクログリア、オリゴデンドロサイトなどさまざまさ細胞があります。最近では、神経細胞死には神経細胞自体の問題だけではなくそれを取り巻くグリア細胞の障害が重要視されております。ALSのアストロサイトに関しても、神経細胞を守るのか、傷害するのか、さまざまな議論がありますが、そこに一石を投じる論文だと思います。


ALS: astrocytes move in as deadly neighbors

2007年4月23日月曜日

ヤコブ病二次感染

ヤコブ病二次感染 7人に可能性判明 2007年4月21日 読売新聞

手術をした患者が、後にプリオン病を発症する。こういう問題はどこでも起こりえる問題だと思います。
プリオン病は、感染時期がはっきりせず発症するまでにどのくらい時間がかかるか分からないため、その間の別の医療処置が感染を伝播する可能性はないとはいえません。プリオン病の早期診断が可能になるといいかもしれません。

2007年4月22日日曜日

第14回福岡ALSケア研究会

平成19年4月21日 第14回福岡ALSケア研究会が開催されました。

当院からも以下の一般演題2題発表させていただきました。

1.村上華林堂病院におけるALS診療の紹介  演者 菊池仁志 
2.当院の神経難病病棟における在宅療養支援の現状 -事例を通してー  
  演者 3階病棟師長 深川知栄

特別講演は以下の2題のお話がありました。
佐賀大学理工学部 知能情報システム学教授 新井康平先生の「ALS患者の視線によるコンピューター入力、意思疎通を可能にするシステム」では、視線による入力システムを開発し、ALS患者さんの新しいコミュニケーションシステムを開発されておられました。今後は企業との連携により商品化が期待されます。
東北大学神経内科教授 糸山泰人先生が「ALS患者さんに私共が出来ること」で、東北大学神経内科でのhepatocyto growth factorを用いた新しいALSの治療法の開発や全国的な神経難病ネットワークのお話をされました。

病棟の看護スタッフが研究会で発表する事は、大変すばらしい事だと思います。
今後もさまざまなスタッフに発表してもらい、医療の質を向上させていきたいものです。 

2007年4月10日火曜日

患者の意思決定「最重要」  終末期医療

患者の意思決定「最重要」終末期医療で国が初指針 2007年04月09日 18:27 【共同通信】

終末期医療に関するルール作りが行われるようです。
人工呼吸器の取り外しなどは、今後の課題とのことです。
尊厳死の問題は、神経難病でも大きな問題となることがあります。

日本尊厳死協会
尊厳死か生か―ALSと過酷な「生」に立ち向かう人びと
人工呼吸器をつけますか?―ALS・告知・選択

2007年4月7日土曜日

第9回福岡神経内科疾患研究会

4月6日第9回福岡神経内科疾患研究会に参加しました。
高橋良輔 京都大学大学院医学研究科脳病態生理学臨床神経学教授
「パーキンソン病のメカニズム」

高橋良輔先生は、神経変性疾患の変性細胞死における異常蛋白質の蓄積を研究されておられます。
パーキンソン病の黒質神経細胞でPAEL-receptorが小胞体に異常蓄積していることを証明し、小胞体ストレスによる神経細胞死を提唱しておられます。異常蛋白の分解過程におけるユビキチン-プロテアソーム系の蛋白分解異常は神経変性疾患のKEYでしょう。

2007年4月5日木曜日

ミクログリア

脳の掃除屋:不要物食べる細胞を解明 九大教授ら 毎日新聞 2007年4月5日
Nature advance online publication 4 April 2007

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脳の中にはグリア細胞と言う神経細胞を支える細胞があります。なかでもミクログリアは、脳内の不要物を片付けることによって、新しい神経回路網を作りやすくしている可能性があるようです。神経細胞が死にかけると、「UDP」と言われる物質が流れ出し、ミクログリアが活性化されるそうです。
ただ、ミクログリアには良いミクログリアと悪いミクログリアがいるとも言われており、今後ミクログリアの両面性の研究が期待されます。

ミクログリア

2007年4月3日火曜日

DNA修復タンパクが減少  難病の神経変性疾患で

DNA修復タンパクが減少 難病の神経変性疾患で 2007年04月02日 18:59 【共同通信】
DNA損傷修復メカニズムの破たんが神経変性を引き起こす

Nature Cell Biology 9:402-414,2007

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DNA修復酵素であるHMGBは、ポリグルタミン病の原因遺伝子であるハンチンチン遺伝子やataxin遺伝子と結合する。しかし、それが神経細胞核で減少するために神経細胞死が誘導されるとのことです。
何らかの刺激で破壊されたDNAがうまく修復されずに機能障害を起こすことで神経細胞が死んでいく。これも重要な病因の一つなのでしょう。

2007年4月1日日曜日

神経疾患をテーマにした映画

神経疾患はさまざまな人生模様があり映画の題材としてよく取り上げられます。
全部は見ていませんが、感動の名作も多いです。

ALS
★モリー先生との火曜日
ALSにかかった大学教授が、毎週火曜日に教え子に人生を語る話。
★打撃王
ALSに罹患したNYヤンキースのルーゲーリックの生涯を綴った話。アメリカではALSはルーゲーリック病といったほうが通じます。
★二人日和
妻がALSになった夫婦の話。

副腎白質ジストロフィー
★ロレンツォのオイル
お勧めです。演技がすばらしい。

パーキンソン病
★レナードの朝

多発性硬化症
★ほんとうのジャクリーヌ・デュ・プレ

多発性硬化症で死んだセロ弾きのジャクリーヌ・デュ・プレの伝記映画
★Go Now
多発性硬化症にかかった男性の恋愛物語 解説

脊髄小脳変性症
★1リットルの涙

アルツハイマー病
★私の中の消しゴム
★明日の記憶
★半落ち
介護問題を考えさせられる映画です。

破傷風
震える舌

統合失調症
★ビューティフルマインド
神経内科ではなく精神科のお話ですが、ノーベル賞受賞数学者ジョン・ナッシュの生涯を描いた作品。お勧めです。

2007年3月28日水曜日

メタボリック症候群

肥満の脳卒中患者は退院して自宅に戻れる確率が小さい
Arch Neurol. 2007;64:310-312.

脳梗塞を起こした肥満者は、退院して直接自宅に戻れる確率が非常に小さいことが、最新研究で示されたそうです。メタボリック症候群には注意しましょう。

新健診方法:メタボリック症候群に重点 厚労省が策定
毎日新聞 2007年3月26日


メタボリック症候群
・内臓脂肪蓄積(腹囲)
 男性:85cm以上、女性:90cm以上  要注意

その中で以下のうち2項目以上を満たす
 ・高脂血症(中性脂肪値 150 mg/dl以上 、またはHDLコレステロール値40mg/dL未満
 ・高血圧  最高 130mmHgまたは最低85mmHg以上
 ・高血糖  空腹時血糖110mg/dl以上

2007年3月26日月曜日

介護者のQOL

ALS患者の介護者は患者よりもうつ病のリスクが高くQOLが低い
NEUROLOGY 2007;68:923-926


長期介護においては、ALS患者さんのQOL、うつの悪化と比較して、介護者のQOL、うつの悪化のほうが著しかったとのことです。(イタリアからの報告)
神経難病、特にALSに関しては家族全体で看ていかなければならない状況が生じる中、やはり介護者のQOLと言うものは重要な問題です。

2007年3月25日日曜日

自閉症に関連する遺伝子異常を発見

理化学研究所、自閉症に関連する遺伝子異常を発見など研究成果を発表 2007/03/23 日経ネット

J Clin Invest online 2007/03/22

CADP2遺伝子欠損マウスでBDNFの分泌異常が起こることで自閉症様行動を起こしたようです。さらに自閉症患者のゲノムの一塩基多型解析から、CADP2タンパク質のアミノ酸配列に変異があるケースが検出されたとのことです。
この発見は、自閉症のメカニズムの解明や早期発見につながる可能性があるようです。

2007年3月21日水曜日

経営書に学ぶ スタッフへの理解

神経内科とは少し離れますが。
最近お勧めの本をご紹介させていただきます。
今回は特に経営に関するものです。
どの書を見ても語られているのは、スタッフを大切にすること。
スタッフを大切にして患者様により良い環境を提供できるよう努力していきたいものです。

病院経営を科学する!―「問題解決型思考」が切り拓く病院経営の新手法
作者: メディカルクリエイト, 遠山 峰輝, 堤 達朗, 田中 伸明
出版社/メーカー: 日本医療企画 発売日: 2003/05

病院経営に企業的発想を導入し、より効率的な運営を示している。重複の削減!MECE(Mutually Eclusive and Collectively Ehaustive)の考えは大切です。いくつもの会議の中には重複があり無駄な委員会の削減をすすめる。紹介病院の選択など病院としてのマーケティングの考え方を教えてくれる一冊でした。問題解決にはゼロベース思考、仮説思考、論理思考。既成概念を捨て、仮説を持って課題解決に論理的に取り組むことが大切だと。。
部門で対応できないから委員会を増やすと言うのは、はじめはいいが本来は本末転倒であり、組織そのものを考えることを検討しなければならない。医療の質に関する委員会が多いのは、品質管理部門が不在である証だろう。。。と言ってます。そして何より、人の能力、貢献を正当に評価し人材のやる気を引き起こさせること。その重要さを説いてます。

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ドラッカー名著集1 経営者の条件
作者: P.F.ドラッカー
出版社/メーカー: ダイヤモンド社 発売日: 2006/11/10

組織の統括には、周りの人材を伸ばし、有効活用すること。
会議・情報の共有の必要性など。大変ためになる本でありました。
この本は、ハリー・トルーマン大統領の8つの習慣より始まります。
1)なされるべきことを考える
2)組織のことを考える
3)アクションプランを考える
4)意思決定を行う
5)コミュニケーションを行う
6)機会に焦点を合わせる
7)会議の生産性をあげる
8)「私は」ではなく「われわれは」を考える。

組織を運営するには、今の組織でなされることをなすことが重要であり、得意分野を伸ばし成果を上げることを優先すべきであるのでしょう

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アメーバ経営―ひとりひとりの社員が主役
作者: 稲盛 和夫 出版社/メーカー: 日本経済新聞社
発売日: 2006/09

企業の巨大化に対する対策として、企業を分割化してそれぞれを独立採算制にする。
そうすることにより、各部門の担当者の経営意識の向上ができ、それぞれが経営者となればトップも経営のパートナーを増やすことが出来る。
単なるトップダウン式の経営ではなく、アメーバーのように独立採算部門を作りみんなでがんばっていく。。。これは、ドラッガーの書にも通じます。
わたしではなくわれわれと言う意識が大切です。

10代へのタミフル使用中止

10代へのタミフル中止 東京新聞 3月21日

新たに2人の異常行動者が出たため10代へのタミフル使用が制限されました。

★中外製薬 緊急安全情報

タミフル(リン酸オセルタミビル)は、インフルエンザウイルス(A、B)感染症の治療薬で、ノイラミニダーゼと呼ばれる酵素によりウイルスが感染細胞表面から遊離することを阻害し、他の細胞への感染・増殖を抑制する働きをします。中華料理の香辛料の八角が使われているようです。ただ中華料理を食べるとインフルエンザになりにくいと言うエビデンスはないようですが。。
同様薬にリレンザ(ザナビミル)という吸入薬がありますが、こちらはどうなのでしょうか。

この子らを世の光に

昨日 NHKスペシャルで「この子らを世の光に」と題した日本初の知的障害児の教育施設「近江学園」を設立した糸賀一雄(1914-68)の生涯を綴った番組がありました。糸賀氏は、世の中に障害者を溶け込ませ、障害者の社会的自立に尽力した方ですが、その同士、田村一二氏(1909-95)の小説を機に、茗荷村という障害者との共同体が立ち上げられました。
障害者の自立に関しては、障害者自立支援法の制定によりさまざまな議論を呼んでおります。障害者と言ってもいわゆる障害児と神経疾患などの疾病による障害者は、進行性か否かという点などから一括りにできるかと言う問題もあると思います。今後は、障害者自立支援法による支援費制度とと介護保険の統合が言われているようですが、無理な負担が生じないような制度が必要でしょう。

★障害者の経済学 (中島 隆信 著)
障害者問題に関して経済学的な観点から独自の切り口で分かり易く解説してくれている本です。堅苦しい本ではありません。障害者の現状や自立支援法とはどういうものかが良く分かります。

2007年3月19日月曜日

ポリグルタミン病

神経難病:原因たんぱく質の構造を発見 大阪大グループ 毎日新聞 2007年3月19日

米科学誌「ネイチャー・ストラクチュアル・アンド・モレキュラー・バイオロジー」(電子版)
Nature structural & molecular biology. Published online: 18 March 2007
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アルツハイマー病のアミロイド蛋白やプリオン病の異常プリオンタンパクも蛋白質のβーシート構造の形成が悪さをしていると言われていましたが、ポリグルタミン病もやはりそうでしたか。ポリグルタミン病の場合ターゲットとなる蛋白質が分かっているため治療戦略も立て易いかもしれません。この研究ではQBP1と言う蛋白質がβシート形成を阻害することを証明し、治療への応用を目指しているようです。今後の発展に期待したいものです。

★ポリグルタミン病
CAGという塩基の組み合わせの繰り返しを「CAGリピート」と呼び、この繰り返しが異常に長いと、異常に伸びたグルタミンを含む遺伝子産物「ポリグルタミン」が作られ、それが神経細胞に異常蓄積して神経細胞死や機能異常を引き起こすと考えられている。ポリグルタミン病とは、こうしたポリグルタミンの異常蓄積によって引き起こされるハンチントン病遺伝性脊髄小脳変性症などの神経変性疾患を総称して言います。。

神経変性疾患では異常蛋白質の過剰蓄積が問題であり、そのフォールディングプロセスの異常が重要であると思います。
特定領域研究「タンパク質の一生」ウェブサイト

2007年3月18日日曜日

第2回地域完結型在宅ケア研究会

第2回地域完結型在宅ケア研究会に参加しました。

今回のテーマは、「在宅リハビリテーションを考える」
主に福岡市内で在宅診療を行っている病院、訪問看護ステーションなどにおける在宅リハに関する講演会でした。在宅リハへの連携パス、介護保険上の訪問リハの利点と問題点、なぜ在宅リハか?在宅短期集中リハの問題点などと言った内容で7名の演者が発表されました。
山下智範氏(あい愛訪問看護ステーション 理学療法士)の話で、やはり自宅では患者さんの自己決定権があるが、病院ではそれが制限されることが、患者さんが在宅を望む理由であると言われ、大田仁史先生の「元気を失わせる理由」を引用され分かり易く解説されていました。★大田仁史先生の著書
たけとみクリニックの武富先生は三好春樹先生関係障害論の話をもとに認知症老人の在宅ケアの話をされました。
★三好春樹(みよしはるき):生活とリハビリ研究所を主宰する理学療法士。「介護覚え書」が新しいケアの教科書として注目を浴びている。現場に絶大の人気。著書に「老人の生活ケア」「老人の生活リハビリ」(医学書院)「老人介護Q&A」(雲母書房)「生活リハビリとはなにか」(筒井書房)など多数。近著「じいさん・ばあさんの愛しかた」(法研)は初の一般の人向けの書きおろしとして出版、話題になっている。現在、次の一般書も執筆中。1950年生まれで、二人の男の子がいる。血液型はA型。

2007年3月17日土曜日

第177回日本神経学会 九州地方会

本日福岡大学で日本神経学会九州地方会でした。

大牟田病院からは、福岡県下在宅筋ジストロフィー患者の療養生活実態調査の報告があり、患者さんの満足度はやはり入院より在宅のほうが高いとのことです。やはり入院生活と言うものは制約もあり、患者さんにとってはつらいものなのでしょう。 ★筋ジストロフィー協会
◎3テスラーのMRIを用いた話題もありました。3テスラーMRIは脱髄や微小脳動脈瘤の検出に優れており、多発性硬化症の診断などに有用であるようです。Eur Radio 2006年 最近は3T-MRIを導入している施設も出てきているようです。
◎視神経脊髄型の多発性硬化症で注目されている抗AQP4抗体が、脊髄炎のあるシェーグレン症候群にも出たとか。。。AQP=アクアポリン
◎ホモセクシャルの関与が疑われるHIVによる髄膜脳炎。日本でもHIV患者さんが増えてきているようです。エイズ動向委員会の平成18 年第4四半期の報告(平成18 年10 月2日から平成18 年12 月31 日までの報告)では感染者・患者とも90%以上を男性が占め、その中でも同性間性的接触に
よる感染が半数以上(約68%)を占めている状態であるとのことです。
エイズは認知症など脳障害を起こしますのでご注意下さい
★エイズ予防情報ネット

2007年3月15日木曜日

睡眠時無呼吸症候群

睡眠時無呼吸症候群:ドライバーの7.9%に疑い 早期治療呼び掛け--警察庁調査 毎日新聞[2007年 3月 15日]

昼間のねむけ、夜間のいびきのある方は睡眠時無呼吸症候群に注意しましょう。
神経疾患の患者様にも睡眠時無呼吸症候群を来たす事があります。

当院では、呼吸器科専門医による睡眠時無呼吸症候群のための診療を行っております。
睡眠時ポリソムノグラフィーによる診断、CPAPを用いた専門的治療を行います。
(CPAPとは、持続陽圧呼吸療法で睡眠時無呼吸症候群、特に閉塞型の治療の第一選択となる呼吸療法)

睡眠時無呼吸症候群・CPAPの情報
フクダ電子
帝人

睡眠時無呼吸症候群でお悩みの方は、
当院の呼吸器科睡眠時無呼吸症候群外来までお問い合わせ下さい。
TEL 092-811-3331

ゾルピデム

2007-03-14 版
BioToday より 興味深い記事がありました

睡眠薬・ゾルピデムの服用で無動無言症の女性が動いて喋れるようになった
2007-03-14 - 未遂に終わった首吊り自殺による脳内酸素不足で無動無言症を発現し、話すことも歩くことも介助なしで食事することもできなくなった48歳の女性に睡眠薬・ゾルピデム(zolpidem、マイスリー)を投与したところ、家族とのコミュニケーション・歩行・介助なしでの食事が一時的に可能となりました。

睡眠薬・ゾルピデムは植物状態の患者の脳機能を改善する
2006-05-29 - 交通事故または水難事故で3年以上植物人間状態にある3人の患者にオメガ1選択的な間接GANAアゴニスト・アンビエン(ゾルピデム、zolpidem)を投与した時の症例報告が医学誌・NeuroRehabilitationに発表されています。
NeuroRehabilitation. 2006;21(1):23-8.

2007年3月13日火曜日

インフルエンザ

インフルエンザ:43校・園が休園や学年・学級閉鎖に 福岡市内では2園9校 /福岡

インフルエンザがはやっているようです。
インフルエンザは重篤な神経障害を引き起こします。インフルエンザ脳症に注意しましょう。
インフルエンザ脳症では、インフルエンザ感染後に痙攣や意識障害、異常行動が進行し、適切な治療が行われない場合には致死率30%、後遺症率25%と言われています。インフルエンザ脳症患者の髄液や死亡後の脳組織からはインフルエンザウイルスは検出されておらず。ウイルスの脳内への直接障害ではなく、サイトカインの過剰産生による脳障害と考えられているようです。

★インフルエンザ脳症ガイドラインはこの中です
PDF版です。初期対応から分かり易くフローチャートで解説してくれています。

2007年3月11日日曜日

呼吸器装着、施設間で大差 難病ALSで病院調査

呼吸器装着、施設間で大差 難病ALSで病院調査 西日本新聞WEB 3月10日より
 全身の筋肉が動かなくなる進行性の難病、筋委縮性側索硬化症(ALS)の患者が呼吸困難になり、延命のために気管切開をして人工呼吸器を装着した割合は、ほぼ100%から10%未満まで病院間で大きな差があることが10日、共同通信が実施した全国調査で分かった。余命を大きく左右する呼吸器装着の割合が、ケア体制の地域差や医師の説明方法に影響されている実態が浮かんだ。一方、一度つけた呼吸器を患者が自らの意思で外す権利を容認する意見が約半数を占め、患者から取り外しを依頼された経験のある病院も19%あった。患者団体には「容認すれば、周囲の都合で死に追い込まれる恐れがある」と慎重論も強く、議論を呼びそうだ。調査は今年1-2月、神経内科がある大学病院本院と国立病院機構など計183病院を対象に実施。78病院(43%)から有効回答を得た。呼吸器をつければ数年以上の延命が可能だが、たん吸引などで24時間介護が必要になる。家族の負担が大きく、装着をためらう患者も多い。

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3月11日の本誌紙面に詳細な記事がありました。その記事では、厚生労働省班会議の推計によると、全国で呼吸器をつける患者は約17%。過去5年程度での病院ごとの呼吸器装着率は、
「ほぼ100% 1病院、80-100% 7病院、50-80% 17病院、20-50% 27病院、10-20% 13病院、10%未満 9病院、その他・無回答 4病院」となっておりました。呼吸器を装着しない理由は、「つけたままで生きたくない」73%、家族の介護負担が心配(65%)など。装着率を左右する要因として「呼吸器をつけて長期入所できる施設の有無」「医師の説明方法」「地域の在宅介護体制の差」が多かったとのことです。
 ALSの長期療養にとってはこの問題が最も重要な問題であります。患者本人の問題だけでなく、家族の理解が必要であり、家族全員で考えていかなければならなくなります。解決には時間がかかると思いますが、何よりも、無理のないより良い療養環境を作るための社会制度の充実が望まれます。
 

2007年3月9日金曜日

最近の話題

★散発性ALSにおける標的候補が全ゲノムジェノタイピングによって明らかに
提供:Medscape (m3.comより)
新しいジェノタイピング技術と公的に利用可能な患者データの融合によって、散発性の筋萎縮性側索硬化症の発現に関連する可能性がある様々なSNP候補に関する新規研究の扉が開かれた。
Lancet Neurology. Published online February 20, 2007
Susan Jeffrey Medscape Medical News

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本研究ではSNP(一塩基多型)チップを用いて自動スクリーニングを行ったところアクチン細胞骨格に関連した遺伝子がリストに多く含まれていたことが明らかになったそうです。アクチンは、細胞骨格の中でも特に大きな位置を占める蛋白質であります。やはり細胞骨格蛋白の変化が神経変性の鍵でしょうか。

★難病ALSに初のワクチン マウス実験で延命効果 日加グループ {1}
記事:共同通信社  提供:共同通信社
【2007年1月30日】
 運動神経が死んで全身の筋肉が徐々に動かなくなる難病、筋委縮性側索硬化症(ALS)のうち、遺伝性へのワクチンを日本とカナダのグループが開発、マウスで延命効果があったとの実験結果を米科学アカデミー紀要電子版に30日、発表した。(m3.comより)

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変異SOD1を用いて作成したワクチンを変異SOD1マウスに摂取して延命したとのこと。。。
PNAS Therapeutic effects of immunization with mutant superoxide dismutase in mice models of amyotrophic lateral sclerosis.アルツハイマー病のワクチン療法が注目されてますが、いよいよALSにもワクチン療法。問題はアルツハイマー病の場合はAβのワクチンでAβそのものをやっつけられるかも知れませんが、ALSの場合はSOD1変異型は、遺伝性ALSの中でもほんのわずかであり、孤発性ALSにどこまで対応できるかと言ったところでしょうか。孤発性ALSの神経細胞に蓄積する変性蛋白がわかれば、新しいワクチン療法のブレイクスルーとなるのでしょう。

2007年3月7日水曜日

高次脳機能障害の支援

医学界新聞2007年2月19日の記事より
高次脳機能障害支援のために

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高次脳機能障害は、「見えない障害」といわれ、脳卒中や事故などによる脳損傷に基づく精神症状を指し、記憶・注意・思考・言語などの知的な機能に障害が起こり、生活に支障を来たすことをいいます。この障害は、社会に出て初めて障害が顕在化することがあります。この高次脳機能障害者の支援のため2001年より5年間「高次脳機能障害支援モデル事業」が実施されました。この事業を通して高次脳機能障害の患者さんに対する医療・福祉サービスの提供が可能になってきました。

神経内科の患者さんにも、脳損傷による高次機能障害の方が来られます。当院リハビリテーション科でも、言語療法士による高次脳機能障害の評価、リハビリテーション療法を施行しております。

★日本高次脳機能障害学会(旧失語症学会)
★高次脳機能障害支援 福岡県身体障害者リハビリテーションセンター 福岡県の高次脳機能障害支援の情報があります。
★高次脳機能障害ハンドブック―診断・評価から自立支援まで

2007年3月5日月曜日

ヤコブ病

薬害ヤコブ病 大津訴訟、最後の和解成立(2007年3月5日 読売新聞より)
汚染されたヒト乾燥硬膜を移植されクロイツフェルト・ヤコブ病を発症した患者らが国や製薬会社などに損害賠償を求めた薬害ヤコブ病大津訴訟で、2005年に提訴した金沢市内の男性患者(06年に39歳で死亡)の和解が5日、大津地裁で成立した。和解額は請求通り7480万円。患者や遺族が1996年から起こした計42件の大津訴訟は、これですべて和解したが、原告患者42人は全員死亡。ヤコブ病は潜伏期間が長く、新たな発症者が出る可能性もある。東京訴訟では和解協議が続く。遺族らは支援を誓い、薬害根絶を願った.
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硬膜移植によるヤコブ病の問題、イギリスの狂牛病騒動により「プリオン病」は注目されるようになりました。CJDの患者さんは、まれに見ることはあります。ただ孤発型の場合の生前早期診断は難しく、解剖してみないと最後まで解らない場合もあります。

★プリオン病
◎クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)
◎ゲルスマン・ストロイスラー・シャインカー病(GSS)
◎致死性家族性不眠症(FFI)

2007年2月28日水曜日

ケアを受ける人の心を理解するために

2月27日 高崎健康福祉大学 渡辺俊之先生の講演に参加させていただきました。
タイトルは「ケアを受ける人の心を理解するために」
渡辺先生は、精神科医の立場から、介護される側や介護者の心理という研究をされております。精神科領域では渡辺先生のような研究をされている方はほとんどおられないようです。

今回は神経難病関連の研究会であったため、難病患者の心理状態の変化、介護による患者心理、介護者である家族の問題など非常に現実的な内容を分かり易くお話していただきました。特に介護を受ける人は「退行」と言う現象が起こり、これまでの人生で良いケアを受けてきた人は介護者に陽性(良い)の感情を、満足したケアを受けてこなかった人は介護者に陽性の感情がわかないようです。上手に甘えることが出来る人は上手に介護されることが出来る、と言った意味でしょう。
また、患者・介護者の感情の「転移」についてもお話されました。
そして家族の問題として、介護は家族の構造を変化させると題する中で、どこまでが介護機能しうる家族か?問題の所在は?問題を誰が一番良く整理しているか?家族のゴールは?などと言った問題を挙げ、さらに時期により家族介護形態が変化していくことを実体験より解説されました。

介護者である家族の問題は、神経難病の診療の中では重要な位置を占めております。キーパーソンを軸に介護形態を考えていく、そして家族全員で協力し合いながら介護体制を構築して行くことは必須であると思います。

研究会の後、有志による渡辺先生を囲む会に参加させていただきました。
非常にユニークな先生で楽しい時間を過ごさせて頂きました。

★渡辺俊之先生のホームページ
 
★著書
介護者と家族の心のケア―介護家族カウンセリングの理論と実践
ケアを受ける人の心を理解するために
この著書の中で先生は、介護される側の心理としての屈辱感の存在について述べられており、非常に考えていかなければならない問題であると思います。
ケアの心理学―癒しとささえの心をさがして

2007年2月18日日曜日

西日本パーキンソン病学術講演会

昨日、香川県立中央病院神経内科 山本光利先生の公演に参加させていただきました。
タイトルは「パーキンソン病の薬物療法におけるリスクとベネフィット」

今回の講演は、パーキンソン病治療薬の中でもドーパミン受容体刺激薬(Dopamin agonist)に関するお話でありました。山本先生は、これまでもパーキンソン病に関する数多くの著書を出版しておられ、最近ではドパミンアゴニストと心臓弁膜症に関する論文をNeurology誌に発表されておられますNeurology 67:1225-1229, 2006。今回の講演はその内容から、下記のテーマを中心にドーパミン受容体刺激薬の使い方をかいつまんで説明していただき、非常に勉強になりました。

・Dopamin agonist(DA)の長期投与の問題
・DAは精神症状が多いか?
・Fibrosisは麦角系DAに特有の症状か?
・DAで治療するとジスキネジアは起きないのか?

麦角系ドパミン受容体作動薬の長期投与による心臓弁膜症は問題になっており、今後はその投与量などが検証されていくのでしょう。
麦角系アゴニストによる弁膜症の機序は、明らかではありませんが、5-HT2B受容体との親和性がfibrosisに関与している可能性が示唆されているようです。(5-HT2B受容体はセロトニン受容体の一種で、心臓弁に豊富に存在し、正常な心臓の発達に不可欠な受容体と言われているそうです)

※参考
麦角系;カバサール,ペルマックス,ブロモクリプチン
非麦角系;ビ・シフロール,レキップ、ドミン

山本先生の著書
パーキンソン病―認知と精神医学的側面 (単行本)
パーキンソン病治療ハンドブック (単行本)
患者と家族のためのパーキンソン病Q&A (単行本)
パーキンソン病―病理学,自律神経系研究の進歩
など

2007年2月16日金曜日

ALSの受験生

呼吸器つけ、大学院受験 難病に負けず団塊の挑戦
記事:共同通信社 提供:共同通信社 より
【2007年2月16日】
 進行性の難病、筋委縮性側索硬化症(ALS)で手足が全く動かず、人工呼吸器をつけている東京都府中市の佐々木公一(ささき・こういち)さん(59)が16日、東海大伊勢原キャンパス(神奈川県伊勢原市)で大学院健康科学研究科を受験した。文字盤のひらがなを目線で示し、介助者が読み取る解答方法を大学側が認めた。患者団体の日本ALS協会によると、呼吸器をつけたALS患者の受験は前例がないという。「生きることは可能性に挑むこと」。団塊世代の挑戦でもある。佐々木さんが発症したのは約10年前。足がもつれて転び、前歯を折るなどけがが絶えなかった時期は「みじめで、人に会いたくなかった」という。呼吸器装着と喉頭(こうとう)摘出を決断した時、声を失う恐怖に号泣した。前向きに生きようと思えたのは、ほかのALS患者と交流してから。昨年11月、ALS患者や家族の体験をまとめて出版した本「生きる力」(岩波書店)の中で、佐々木さんは「どんな難病でも人間らしく生きられる。社会に貢献できる。必要な環境を社会が整えられれば」とつづった。受験科目は、記述式の論文読解や面接など。大学側は試験時間を各科目とも通常より1.5?2倍に延長。妻節子(せつこ)さん(57)と介助者2人が文字盤を読み取り解答用紙に記入することを認めた。合格すれば車で往復3時間かけ、車いすで通学するつもりだ。佐々木さんは「障害者福祉を専攻して、障害者が尊重される社会を目指したい」と意気込んでいる。
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ALSの患者さんでも目的をもった方は、病気の進行が遅いように感じます。
がんばって他の患者さんに勇気を与えていただきたいと思います。

パーキンソン病発症抑制たんぱく質

(2007年2月16日 読売新聞)より
パーキンソン病発症抑制たんぱく質特定…京大グループ
 脳の神経細胞に多く含まれるたんぱく質がパーキンソン病の発症を抑えていることを、京都大医学研究科の木下専(まこと)・助教授らのグループがマウスの実験で突き止めた。パーキンソン病の患者では、このたんぱく質が欠乏していることも確認しており、詳しい発症メカニズムの解明につながるという。15日の 米科学誌「ニューロン」(電子版)に掲載された。
 パーキンソン病は、神経細胞内にある「α―シヌクレイン」というたんぱく質が大量に蓄積して発症するとされる。木下助教授らは、α―シヌクレインとともに多く見つかる「セプト4」というたんぱく質に注目。これまで、これが増えるとパーキンソン病が進行すると考えられていたが、患者の脳を調べたところ、逆に正常の人と比べ欠乏していることがわかった。
 セプト4をつくらないようマウスの遺伝子を操作して観察した結果、正常なマウスより3か月ほど、病気の進行が早くなった。正常な状態では、セプト4はα―シヌクレインと結合して蓄積を防いでいるらしい。

 Ihara et al. Neuron, Vol 53, 519-533, 15 February 2007

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パーキンソン病などの神経変性疾患では、異常な蛋白質が神経細胞内に凝集して、それが神経細胞に悪さをするといわれています。蛋白質に違いはあれ、ALSやハンチントン病、脊髄小脳変性症などさまざまな病気でこの異常蛋白質の凝集が問題になっています。α―シヌクレインやタウ蛋白など蓄積する蛋白質のなかでその性質が分かっているものもあり、この異常蓄積のメカニズムを解明することが治療法の開発に結びつくものと考えられ、研究が進められております。
Sept4と言う蛋白質がパーキンソン病の治療を発展させることを期待したいものです。

★パーキンソン病関連サイト
全国パーキンソン病友の会
パーキンソン病(難病情報センター)
Parkinsons.co.jp

2007年2月13日火曜日

HTLV-1関連ミエロパチー

国主導で研究、救済を 指定求めるHAM患者会
記事:共同通信社 提供:共同通信社 より
【2007年2月13日】
 原因が分からず、治療法も確立していない病気は多く、患者・家族の精神的、経済的な負担は重い。厚生労働省は重症筋無力症など121の難治性疾患(難病)を「特定疾患」に指定、うち45疾患を医療費補助の対象としている。国の医療費抑制策の中で、患者の支援や新たに難病指定する基準をどうするかなど、難病対策の課題が指摘されている。「畳のへりにもつまずいて転ぶ。大腿(だいたい)骨や肋骨(ろっこつ)を折り、体中けがをしました」。菅付加代子(すがつき・かよこ)さん(49)=鹿児島市=は、33歳のとき「HTLV1関連脊髄(せきずい)症(HAM)」と診断された。HAMは発症すると足のしびれや痛み、歩行障害や排尿障害などの症状が進行し、患者の多くは車いす、寝たきりの生活を強いられる。菅付さんは2003年に患者団体「アトムの会」を設立し、国にHAMの難病指定を求めている。HTLV1ウイルスがHAMの原因であることは、1986年に鹿児島大の納光弘(おさめ・みつひろ)教授らが発見した。国内のHTLV1感染者は120万人以上と推定され、南九州、沖縄に多い。HAMは年間に感染者10万人に3人の割合で発症し、患者数は約1500人とされている。菅付さんはHTLV1の輸血感染防止対策がなかった70年代に、貧血治療で受けた輸血によってウイルスに感染した。HAMの症状は徐々に進み、今は松葉づえが欠かせない。「人生が突然裏返るような体験で若い人が苦しんでほしくない。難病に指定し、国が主導して治療法の研究を進めてほしい」という。30万人近い署名を集め、04年から厚労省、国会への陳情、請願を行っている。しかし、厚労省は当初「原因がウイルスと分かっており、指定できない」と回答した。
難病指定には条件がある。(1)患者数が少なく(おおむね5万人未満)、公的支援がないと研究が進まない(2)原因が不明(3)治療法が確立していない(4)長期の治療が必要で生活面への支障が大きい?という4要件だ。
 HAMは「原因不明」以外の要件は満たしている。菅付さんは「原因が分かっていても治療法がなければ、患者の苦しみは同じ」と話す。一方で指定された難病には、パーキンソン病など患者数が5万人を上回る疾患がある。厚労省には、HAM以外にも、筋肉などが骨に変化して動きの自由を奪われる「進行性化骨筋炎(FOP)」など、10以上の疾患について難病指定の要望書が提出されている。

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排尿障害や足のツッパリのある方は、HAM(HTLV-1関連ミエロパチー)も鑑別に挙がります。壱岐や対馬などの患者様を良く見かけます。まだ難病指定を受けていないようですので今後の患者活動が期待されます。

アロママッサージ

病棟看護師 SNさんのコメント
本日ALSの患者さんにアロママッサージをしました。
その後NIPPVをすると非常に調子がよく、本人も快適であったようです。
やはり、難病の診療には医療だけではなく癒しの空間が必要ですね。

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とのことです。

ちなみにこんな本もありました。
匂いが難病を治す―アロマセラピーの神秘
嗅覚への心地よい刺激は、五感の中でも最も生命の奥深いところへの刺激となる。心地よい匂いを嗅ぐだけで病は癒されることがある。

だそうです。

2007年2月12日月曜日

在宅看護の条件

 神経難病の在宅介護は、本人のみならず家族・介護者による十分なサポート体制が必要であります。

 神経難病の在宅介護には以下の条件が必要と考えられています。

 *患者が在宅を望む
 *家族が在宅を望む
 *患者が自分の病気を理解している
 *特定の介護者の存在
 *複数の介護者の存在
 *簡単な対症療法が可能(処置:吸引など)
 *在宅訪問看護、訪問リハビリテーション
 *往診医の存在
 *入院可能な後方支援病院の存在

2007年2月11日日曜日

ALSのケア

筋萎縮性側索硬化症(Amyotrophic lateral sclerosis,ALS)は神経難病の中でも最も問題となる病気であります。ALSは、運動神経に限局した神経障害を引き起こし、全身の筋肉が麻痺していきます。
ALSは、罹患率は10万人に2-6人の割合で、40歳以上で、男性にやや多いとされています。一般的な死因は呼吸困難で、生存期間は、平均3~5年と言われていますが、進行は患者さんによってさまざまであり、進行が緩徐なケースも見られます。ALSは神経難病の中でも最も総合的なケアが必要な疾患であります。

ALSケアの基本概念 (H.Mitsumoto et al.)
1. ケアは患者の意思決定に応じての提供。
2. 神経内科医の十分な理解が必要
3. 神経内科医はALS患者ケアに関し献身性が必要。
4. 包括的なケアが必要。
5. 積極的な対症療法を行う。
6. 臨床治験への参加
7. 効果的な在宅介護とホスピスケア
8. 患者・介護者・コーディネーターの緊密な連帯が必要。
9. 病状の進行に関して常に検討する。
10.終末期における緩和ケア。

ALSのケアには以下のような多専門職種によるチーム医療が必要です。

ALSクリニックの理想的メンバー
       (コロンビア大学ALSセンタースタッフ)
・ALSナースコーディネーター
・ALS専門医
・理学療法士
・作業療法士
・栄養士
・言語聴覚士
・ソーシャルワーカー
・精神科医または心理療法士
・呼吸器科医
・消化器科医
・器具・装具士

*米国・コロンビア大学神経内科のMDA/ALSセンターPrzedborski研究室)に留学しておりました。研究に明け暮れる毎日でしたが、センター長の三本博教授(ALSのケアに関する世界の第一人者)からは神経難病の診療姿勢に関しても多くのことを学ばせていただきました。米国の医療システムは日本と大きく違いますが、良い点や悪い点を含め学ぶべき事は多いと思います。特に米国のALSセンターにはALS専門看護師がいて、彼女(彼)らがチーム医療における多専門職種のとりまとめを行っております。神経難病診療の場合、専門看護師の存在は重要であると思います。
参:★米国におけるメンタルサポートの現状

ALSのケアに関する参考図書
1.新ALSケアブック 
2.Amyotrophic Lateral Sclerosis (Neurological Disease and Therapy)  
3.Amyotrophic Lateral Sclerosis: A Guide for Patients and Families
4.Palliative Care in Amyotrophic Lateral Sclerosis: From Diagnosis to Bereavement

参考サイト
日本神経学会ALS治療ガイドライン
ALS/LIVE TODAY FOR TOMORROW(ALS情報サイト)

2007年2月10日土曜日

NIPPV療法

神経難病の患者さんは、呼吸状態が悪化し、人工呼吸器が必要になることもあります。
最近では、NIPPV療法(Non-invasive Positive Pressure Ventilation)という非侵襲的陽圧換気法が普及しており、挿管をしない呼吸サポート法も可能になってきております。
当院でも以下の機器を用いて神経疾患患者さんのNIPPV療法を施行しております。
INTEGRA
ULTRA
SERENA
NIP NASAL

研究会の案内

★第4回日本難病医療ネットワーク研究会

 平成19年10月6日(土)、7日(日)
 場 所 別府ビーコンプラザ (大分県別府市山の手町 12-1)

ALSの治験

当科ではALSの治験を行っております。

2007年2月9日金曜日

当院設置検査機器

当院には神経疾患の検査目的のため最新の診療機器を導入しております。

★筋電図・神経伝導速度検査
Neuropack MEP-9204 


神経伝導速度検査の実際







★デジタル脳波計
Neurofax EEG-1514









★MRI
HITACHI APERT INSPIRE






★CT
東芝Asteion

2007年2月8日木曜日

神経内科で取り扱う疾患

神経内科では、頭痛、めまい、ふらつき、手足のしびれ、つっぱり、痙攣、運動異常、運動麻痺、感覚障害、物忘れ、不随意運動など、神経・筋肉の障害によって引き起こされるさまざまな疾患の診療を行います。

主な対象疾患
1.脳血管障害:脳梗塞、脳出血など
2.変性疾患:認知症(アルツハイマー病、脳血管性認知症、ピック病、び慢性レヴィー小体病など)、パーキンソン病、進行性核上性麻痺、多系統萎縮症、脊髄小脳変性症、大脳皮質基底核変性症、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症、脊髄性筋萎縮症など
3.炎症性疾患:髄膜炎、脳炎、神経梅毒、プリオン病など
4.脱髄性疾患:多発性硬化症、急性散在性脳脊髄炎、急性小脳炎、横断性脊髄炎など
5.中毒性疾患:薬物中毒、有機物質による中毒、一酸化炭素中毒、SMON
6.内科疾患に伴う神経障害:ビタミン欠乏症、内分泌疾患(甲状腺疾患、糖尿病など)、肝性脳症、肺性脳症、血液疾患(Crow-Fukase症候群など)、膠原病(SLE、シェーグレン症候群など)、神経Behcet病、傍腫瘍性症候群(辺縁系脳炎など)
7.筋疾患:多発筋炎、皮膚筋炎、筋ジストロフィー、重症筋無力症、周期性四肢麻痺、筋痙攣
8.末梢神経障害:ギランバレー症候群、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー、Charcot-Marie-Tooth病、手根管症候群など
9.脊椎疾患:椎間板ヘルニア、後縦靱帯骨化症、脊柱管狭窄症
10.代謝性疾患:ミトコンドリア異常症、アミロイドーシス、ウィルソン病など
11.その他:てんかん、頭痛など

2007年2月7日水曜日

合同勉強会

平成19年2月6日
福岡市内で神経難病の診療を積極的に行っている3病院(栄光病院原病院村上華林堂病院)の合同勉強会が行われました。
当初20人程度の参加予定でありましたが50人ほど集まり、大変盛況でありました。当院からはリハビリテーション部からの多数の参加がありました。
今回は講演形式で、内容は、3病院の各施設の紹介、原病院理学療法士 園田義顕先生の「身体スキーマを意識した訓練戦略」、栄光病院神経内科 野村拓夫先生の「パーキンソン病の臨床」
でありました.このような交流会は大切と思われます.回を重ねてさらに病院間交流が出来るようにしていきたいと思います。 

多専門職種によるチーム医療


当院では神経難病患者様に対して、以下の多専門職種によるチーム医療を行っております。
神経難病疾患のケアのためには、パラメディカルを中心としたチーム医療が必須であり、看護師のみならずリハビリテーションスタッフ、MSW、訪問看護スタッフなど多職種スタッフの理解が必要であります。

神経難病ケアスタッフ
神経内科医師 ・病棟看護師・訪問看護ステーション・リハビリテーション(PT、OT、ST)・介護部門・ソーシャルワーカー・栄養士・臨床心理士・薬剤師

毎週1回上記スタッフが全員で集まって入院患者に関するミーティングを行うことで、患者様の全体像を把握し、総合的なケアが出来るようにしております。(当院では、障害者等一般病棟である3階病棟を中心として神経難病の診療を行っております。)

院内医療スタッフとの連携
当院では他の医療スタッフとともにより効率的な診療が出来るように以下のようなチーム医療を行っています。
★メンタルサポートに関しては、臨床心理士、STと共に定量的心理評価、高次脳機能評価機能評価、心理カウンセリング.
★呼吸障害に関しては、呼吸器内科医と共にPSG検査、NIPPVの導入などの呼吸器管理
★嚥下障害に関しては、言語療法士と共に食道造影を用いた嚥下機能検査とそれに準じた食種の選定と嚥下リハを行う.消化器外科医による胃ろう造設.
★運動機能障害に関しては、作業療法士、理学療法士、整形外科医と共に関節拘縮などに対する対症療法.
★視力障害に対しては、眼科医と共に原因精査、加療.

その他の診療科に関しても院外の診療施設との連携を図りながら円滑な医療を推進出来るようにしております。

当科の診療コンセプト

当科では多専門職によるチーム医療を基本にして
神経難病患者様の在宅療養を支援することを目標とし
以下のコンセプトに基づく診療を行っております。

1.神経難病患者は、医療行為だけでは多くの問題は解決できない ため、心理的
  社会的サポートを固めるべく多職種間でのチーム 医療を進めていく。

2.初期診療から病状の進行過程に関わる事で、患者さんの人間性や心理状態を
  把握し、メンタルサポート・リハビリテーションを通してADLやQOLの向上に
  努める。

3.可能な限り在宅への復帰を目指し、家族と一体になったサポート体制を構築す  る。

4.在宅診療を中心とした長期療養を行いながら可能な限り末期まで診療する。

5.介護者の負担軽減も考えたレスパイトケアやメンタルサポートを推進する。

6.医療スタッフへの過剰負担の軽減に努め無理のないサポート体制を推進する

レスパイトケア:患者様を一時的に病院に受け入れて、家族などの介護者に一時的な解放を与えると同時に患者様に必要なケアを提供すること。


当院での神経難病患者の診療の流れ
1.大学病院や基幹病院、近隣の病院からの紹介を受けた場合、ソーシャルワーカー(MSW)・医師により対応し、受診の調整を行います。

2.その後、本人・家族(場合によっては家族のみ)に受診していただきます。
診察および医師・病棟看護師長・MSWを交えた面接を行い、この最初の面接過程で将来的な方向性を十分話し合います。面接後、病院見学をしていただきます。

3.入院後は、治療・リハビリテーション・メンタルケアおよびMSWによる退院後施設、訪問看護ステーション・往診医の確保を行い、さらに家屋調査による在宅療養環境の改善を行います。

4.退院後は、プライマリケア、リハビリやレスパイトケアのための入院などを交えながら在宅療養を支えていきます。

村上華林堂病院神経内科について

神経難病の患者様と言うのは、一般病院ではなかなか受け入れられにくい状況があり、福岡市でも神経内科を専門にし神経難病を中心とした診療を行っている病院は数少ないと思われます。

当院では、神経疾患全般の診療は当然のことながら、神経難病の患者様の早期から末永く関わる事で、医療のみならずメンタルサポート、リハビリテーション、社会的サポートに至るまで、多専門職種によるチーム医療を通して、在宅療養を視野に入れた総合的なケアを目指しております。


※難病とは、昭和47年の難病対策要綱の定義では(1) 原因不明、治療方針未確定であり、かつ、後遺症を残す恐れが少なくない疾病  (2) 経過が慢性にわたり、単に経済的な問題のみならず介護等に著しく人手を要するために家族の負担が重く、また精神的にも負担の大きい疾病
とされております。中でも神経難病とは筋萎縮性側索硬化症、パーキンソン病、脊髄小脳変性症、多系統萎縮症、多発性硬化症などの難治性神経疾患を示します。