2011年5月18日-20日 第52回 日本神経学会総会開催
以下の演題を報告
ALS患者の終末期医療の現状報告
菊池仁志、田代博史、野島真千恵、深川知栄、芥川泰子
村上華林堂病院 神経内科、在宅診療部、看護部
目的:ALS患者の終末期緩和医療は患者QOLの向上に重要である。ALS患者終末期の実態調査を行うことで、緩和医療のあり方を検討する。
方法:ALS患者死亡例31例(男性9例、女性 22例)に関して、終末期の実態を調査。死因、死亡場所、補助呼吸、胃ろう造設、薬剤処置の有効性などについて検討。
結果:死因 呼吸不全29例(うち肺炎併発3例)、突然死1例、低栄養1例.死亡場所:在宅8例(男性2例 女性 6例)、病院23例(うち救急搬入時死亡1例).補助呼吸:TV 装着0例、NIPPV終日装着13例、気管切開1例、未処置17例.胃瘻造設:21例 薬剤使用:呼吸苦に対する塩酸モルヒネ使用 5例(うち4例有効)、排痰喀出困難に対する臭化水素酸スコポラミン使用 2例(全例有効).終末期診療体制作りと共に在宅見取りの円滑化、緩和医療の有効性が向上した。問題点としては、球麻痺型ALS患者へのNIPPVの使用は、必ずしも患者QOLを向上できるものではない、球麻痺患者の胃瘻造設未施行例は、終末期の栄養・投薬困難のためQOLが低い傾向にあることなどが挙げられた。
結論:ALS患者に対する終末期緩和医療は重要であるが、そのためには患者個々人の環境や病態に応じた対応、薬剤使用が必要である。